「決算書が読み解けない」という人は多いでしょう。しかしそこでオススメなのが「視覚的に会計を読む」方法です。今回は書籍『サンキー図で「お金の流れ」が1秒でわかる 見るだけ決算書』今回はCF(キャッシュフロー計算書)を俯瞰しながら、オリエンタルランドの1年間の「現金の動き」を見ていきます。

現金残高は1,884億円→2,361億円、1年間で477億円増加

オリエンタルランドの現金は、1年間でどれくらい増減したのでしょうか。そして、その増減を生んだ要因は何なのでしょうか。

オリエンタルランドのCFサンキー図(2026)/期首・期末残高に注目オリエンタルランドのCFサンキー図(2026)/期首・期末残高に注目

CFサンキー図の右端を見ると「この1年間で現金がどれくらい増減したのか?」がわかります。オリエンタルランドの期首の現金残高は1,884億円、期末は2,361億円でした。つまり、2026年3月期の1年間で現金は477億円増加しています。

キャッシュフロー計算書を読む際には、営業CF・投資CF・財務CFから順番に追う方法もあります。ただ、「現金残高が最終的にどう変わったのか」を最初に押さえておくと、その後の分析で見るべきポイントが明確になります。今回であれば、次に確認したいのは「なぜ477億円増えたのか」です。

営業CF1,813億円と投資CFマイナス1,721億円がほぼ相殺

オリエンタルランドのCFサンキー図(2026)オリエンタルランドのCFサンキー図(2026)

現金が477億円増加した要因を特定していきます。

まず、営業活動で生み出したキャッシュを示す営業CFはプラス1,813億円でした。内訳としては税引前利益の1,702億円が最も大きく、事業でしっかり利益が出ていることがわかります。一方、投資CFはマイナス1,721億円。固定資産の購入による836億円の資金流出などが発生しています。

営業CFと投資CFを合計した金額をフリーキャッシュフロー(FCF)と呼びます。事業を維持・拡大するための投資をした後に自由に使える現金という意味で、同社のFCFは92億円。営業CFの5%程度しか残っていません。

FCFが少ないと、配当や借入金の返済などの財務活動に回せる余力も限られます。実際、この年度の配当金の支払は229億円で、FCF92億円を上回りました。手元資金が厚いため支払いに支障はありませんが、本業の稼ぎだけでは投資活動と株主還元を完全にはカバーできなかった年だと言えます。

では、FCFが92億円しかないのに、なぜ現金は477億円も増えたのでしょうか?

現金増加の8割は、財務CFの386億円

営業活動と投資活動だけを見ると、キャッシュの増加は92億円にとどまります。477億円という増加額の大半は、財務CFが生んだものです。

オリエンタルランドのCFサンキー図(2026)オリエンタルランドのCFサンキー図(2026)

オリエンタルランドの財務CFはプラス386億円でした。内訳を見ると、借入金による100億円の資金流入、配当金による229億円の資金流出、その他財務CFによる514億円の資金流入(社債発行による収入など)があります。

つまり、477億円の現金増加は「本業の稼ぎがそのまま積み上がった結果」ではありません。営業CF1,813億円に対して投資CFはマイナス1,721億円と、両者はほぼ相殺されています。そのうえで、財務CFによる386億円の資金流入が、現金増加の大きな要因となりました。

今後を見るうえでは、この年度に実施した固定資産への投資が将来の売上や営業CFの維持・拡大につながるかが重要になるでしょう。

このようにキャッシュフロー計算書は、まず期首と期末の現金残高を比べ、その増減要因を営業・投資・財務CFから特定していくとわかりやすいです。

絵のように見れば「ひと目で」わかる

決算書を数字の羅列として見ているだけでは、現金がどこで増え、どこで減ったのかは直感的につかみにくいものですが、CFサンキー図にすればひと目でわかります。

最後に、オリエンタルランドのCFについて簡単にまとめます。

・現金残高|1年間で477億円増加、1,884億円→2,361億円
・本業と投資|営業CF1,813億円に対して投資CF▲1,721億円、FCF92億円
・資金調達財務CF+386億円が現金増加の大きな要因。
→今後は投資効果に注目