生物が何世代もの時間をかけて形質を変化させていく「進化」。目に見えないほどゆるやかな変化の証拠を、科学者たちはどのようにして見つけ出してきたのだろうか。気温や環境の変化が促す遺伝子の変異から、鳥の翼と魚のひれの意外な共通点、そしてヒトの体に今も残る「尾骨」のような痕跡器官までを進化の視点で『アメリカの中学生が学んでいる 14歳からの生物学』から解説する。(ダイヤモンド編集局)
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環境変化と遺伝子の変異
進化とは、ある生物の遺伝形質が何世代もかけて変化したり、新たに現れたりすることである。
進化によって、地球上には新しい生物種が次々に出現する。
進化におもに影響を与えるのは、長期間にわたる環境の変化である。
たとえば気温が上昇すると、その気温では生き延びられない生物は、新たな環境へ移動するか、さもなければ死ぬ。
生物の変化は、遺伝子のランダムな変化、すなわち変異によって起こる。
すべての変異が有益というわけではない。
進化につながるのは、変異によって生じた形質を子に伝えられた場合に限られる。
新たな生物種が作られる方法は進化だけではない。
人類は選択交配と呼ばれるプロセスによって、新たな生物種を作ってきた。
このプロセスでは、2つの品種を交配させて、もっと望ましい形質を持った新たな品種を作る。
相同器官と「痕跡器官」の謎
進化の存在を明らかにするのに長い年月がかかったのは、進化の証拠を見つけるのが非常に難しいか、または多数の生物種を調べる必要があるからだ。
たとえば何種もの動物が、互いに似た役割を果たす身体の構造を持っている。
鳥が飛ぶための翼と、魚が泳ぐためのひれは同じように作用するし、イヌの肢とネコの肢は似ている。
進化の例とみなされるこのような類似構造を、相同器官という。
進化の例は痕跡器官にも見られる。
ヒトの場合、尾骨は痕跡器官である。
ヒトは尾がないが、尾を操る骨はいまだに持っている。
「発生学」が示す共通祖先の存在
進化の証拠をもたらしてくれた研究分野の1つが、発生学である。
発生学では、生物発生の初期段階である胚を研究する。
さまざまな生物種の胚を観察すると、多くの種が初期発生の段階で同じ特徴を持っていることが分かる。
胚の類似性に基づいて、共通祖先の理論が構築された。
全生物の共通祖先がいたのだとしたら、ほかの生物種と完全に縁のない生物種などというものは存在しないはずだ。
これは進化の研究において重要な考え方である。



