スマートフォン版「PeaTiX」

「たまには社外の人と交流を持つために、勉強会や飲み会でも開いてみるか」――ビジネスパーソンの中にはそんな社交的な人もいるだろう。そんなとき、皆さんはどうやって告知、集客するだろうか。

「PeaTiX」は、イベントの運営をサポートしてくれるサービス。2011年5月のサービス開始以来、これまで延べ1万件あまりのイベントがこのサービスを使って開催され、とくに2012年の後半以降、サービスの利用が急増している。

 例えば、昨年度の「グッドデザイン賞受賞発表展」は、このサービスとその他の施策を併用し4万人を超える来場者を集めた。また「慶應義塾湘南藤沢中・高等部の創立20周年記念同窓生総会」は600名近い来場者に。ジャンルや規模を問わず利用されていることも特徴だ。

 PeaTiXを使ってイベントを主催するには、まずは会員登録とログインが必要。Facebook、Twitter、Google+のアカウントでログインすることも可能だ。続いて、イベント名と開催国、日時と会場を入力。それだけで、イベントごとにカスタマイズされた告知ページが作成され、参加者はそのページでチケットを入手したり、自分のカレンダーに予定を追加できるようになる。

SNSのつながりを軸に集客、
運営コストも低価格

 イベント運営で最も大変なのは告知、集客だろう。有名歌手のコンサートなどであればすぐに満席になるかもしれないが、無名の一個人が主催するとなると、小規模であってもそう簡単にはいかない。

 そこで、PeaTiXではソーシャルメディアとの連携を使って、告知ルートを確保してくれる。ソーシャルメディア上でつながりがある人、またはサービス内でフォローしている人、さらに過去に自分が参加したイベントの履歴などから、その人の興味関心に近いイベントが推薦されるリコメンデーション機能がある。そのため、人づてや友人の紹介だけに頼らなくても集客を図ることができるし、主催者である自分とは全くつながりのない人も参加してくれる可能性がある。

 さらにPeaTiXは、告知、集客だけではなくイベント開催前後のサポートまでカバーするのが特徴だ。例えばイベント当日、会場にアクセスするための交通機関に遅延が生じたり、プログラムに変更が生じた場合には、参加者にその旨を一斉にメッセージで送ることができる。さらに、PeaTiXのユーザー同士はプロフィールの設定やダイレクトメッセージの送信が可能なため、イベント終了後も交流することができる。

 さて、そんなPeaTiXの収益モデルだが、イベント主催者がPeaTixへ支払う利用料(手数料)は極力下げている。まず無料イベントの場合は手数料も無料、有料イベントの場合は、申し込み1件あたり、チケット金額の2.9%+70円の手数料となる。PeaTiXではその収入に加え、イベントを応援したい企業などからの協賛金の一部を収益にしているという。

 PeaTiXの日本市場へのサービス提供を行う、Orinoco Peatixの庄司望マーケティングマネジャーは、イベント運営の経験を経て、自身もその大変さを知った。「イベントと一口に言っても、告知から集客、受付管理、運営、参加者とのコミュニケーション、運営管理、参加者間の交流、主催者・登壇者と参加者の交流、開催後のコミュニケーションまで、とても奥が深い」(庄司氏)。

 PeaTiXはこれからもネットとソーシャルの特性を生かした機能の拡張を予定しているそうで、今後1年間で3万~5万件のイベントの開催という目標を掲げている。

(岡 徳之/Noriyuki Oka Tokyo & 5時から作家塾(R)