「総合ビジネス誌」で「日本一のマーケター」と称された神田昌典氏。日本のダイレクトマーケターの先がけとして、多数の成功企業や数々の起業家・ベストセラー作家を育ててきた。
このたび、神田氏が『ザ・マーケティング【基本篇】』『ザ・マーケティング【実践篇】』を同時監訳した。「これからの日本やアジアのビジネスを語る“共通言語”としてなくてはならない本」と力説する神田氏。
マーケティングの名門、ノースウェスタン大学など「全米トップスクール37校の教科書」となっている本書を読む意義はどこにあるのか。
3回に分けて神田氏が読者へ直接語りかける特別企画。
第1回は、誰でもビジネスができる時代に、われわれのビジネスはこれからどう変わっていくのか、上司と部下はどんな共通言語を持つべきかを語ってもらった。

神田昌典(かんだ・まさのり)
上智大学外国語学部卒。外務省経済局に勤務後、ニューヨーク大学経済学修士(MA)、ペンシルバニア大学ウォートンスクール経営学修士(MBA)取得。その後、米国家電メーカー日本代表を経て、経営コンサルタントに。多数の成功企業やベストセラー作家を育成し、総合ビジネス誌では「日本一のマーケッター」に選出されている。著書に、『全脳思考』『60分間・企業ダントツ化プロジェクト』『あなたの悩みが世界を救う!』『成功者の告白』『人生の旋律』『非常識な成功法則』、監訳書に、『ザ・コピーライティング』『伝説のコピーライティング実践バイブル』等がある。

中高生でもビジネスができる時代の到来

  誰もが簡単にビジネスを立ち上げられる時代になりました。

  そのように言うと、「また神田が大風呂敷を広げている」と思われる方も、おそらくいらっしゃるかもしれません。
  でも、本当なのです。具体的な事例をあげてみましょう。

  たとえば、公立高校に通う17歳の女子高校生は、東日本大震災後、風評被害に悩む農家のために、野菜を販売するボランティアプロジェクトを立ち上げました
  周りに声をかけたところ、ウェブページを制作する人、配送会社と交渉する人、企業スポンサーを集める人といった具合に、さまざまな役割を担える人たちが100人近く集まり、プロジェクトが遂行されました。

  あるいは、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスに通う20歳の学生が、被災地の復興ボランティアツアーを企画し、まずは自分の周りにいる学生仲間に声をかけたところ、3人の学生が集まり、さらにツイッターで拡散させたら、たちまちアジアの留学生、日本人学生、ニューヨークの日本酒専門コンサルタント、ロサンゼルスのプロジェクトマネジャーら15人が集まって、被災地の酒蔵を復活させるための議論が行われました。

  結論としては、酒蔵復活のために自分たちが全世界でその酒蔵のマーケティングをし、復興の象徴として、世界市場に向けて新しいブランドを立ち上げることになったそうです。

  新しいプロジェクトやビジネスを立ち上げるためには、膨大な知識と資金が必要であるかのような印象を受けますが、これらの事例からもわかるように、実際には誰にでもできる、簡単なものなのです。

  フェイスブック広告について解説されているページをネット上で斜め読みすれば、おそらく中学生でも広告・集客するためのプロセスが理解できるでしょう。

  あるいは、私のクライアントのなかにも、フェイスブックにショッピングカートを月額数百円で実装するサービスの立ち上げる会社があります。こうなれば、やろうと思えば、誰でもお小遣い程度のコストで、全世界に向けて広告してモノを販売し、売上をあげられるようになります。

  かつてビジネスは、喩えて言うなら免許が必要な大型トラックでしたが、それが子どもにでも運転できるアンパンマンカートになってしまったのです。
  ここまでビジネスが簡単なものになると、全世界の人々が皆、同じ条件で、それも個人レベルでビジネスを展開できるようになります。

  その先に待っているものは何かと言うと、資本主義の解体です。