2. 混迷の時代だからこそ求められる「独自の文脈」
また、安吾の魅力は社会評論だけにとどまりません。彼の独特な感性は、混乱期の時代背景とも深く結びついています。
◯『木枯の酒倉から』(『木枯の酒倉から・風博士』講談社文芸文庫に収録)
初期の小説で、サブタイトルは「聖なる酔つ払ひは神々の魔手に誘惑された話」。奇妙な酒倉を経営しているアルコール依存症の男との出会いを描いたもので「ナンセンス小説」とも評されました。くねくねとうねったような不思議な文体で、まさに文章が酔っ払ったような世界観ですが、だんだん癖になります。はまる人はどっぷりとはまると思います。
――『ビジネスエリートのための 教養としての文豪』より
初期の小説で、サブタイトルは「聖なる酔つ払ひは神々の魔手に誘惑された話」。奇妙な酒倉を経営しているアルコール依存症の男との出会いを描いたもので「ナンセンス小説」とも評されました。くねくねとうねったような不思議な文体で、まさに文章が酔っ払ったような世界観ですが、だんだん癖になります。はまる人はどっぷりとはまると思います。
――『ビジネスエリートのための 教養としての文豪』より
このような常識外れの破天荒な作品が生まれた背景には、当時の社会状況も影響していました。
◆メチルアルコールで酔っ払った戦後の人たち
安吾に大きな影響を与えた第2次世界大戦ですが、戦後日本は焼け野原になり、食料や物資の不足が続きました。国からの配給も追いつかなくなると「闇市」が立ち並び、違法な取引が行われていても統制できない状況になります。食料はもちろん酒も貴重品になり、工場などで燃料として使われる「メチルアルコール」(メタノール)を飲んで失明したり、亡くなったりする人が大勢いました。
――『ビジネスエリートのための 教養としての文豪』より
安吾に大きな影響を与えた第2次世界大戦ですが、戦後日本は焼け野原になり、食料や物資の不足が続きました。国からの配給も追いつかなくなると「闇市」が立ち並び、違法な取引が行われていても統制できない状況になります。食料はもちろん酒も貴重品になり、工場などで燃料として使われる「メチルアルコール」(メタノール)を飲んで失明したり、亡くなったりする人が大勢いました。
――『ビジネスエリートのための 教養としての文豪』より
極限の状況下で生きる人々のエネルギーや狂気が、安吾の描く世界観のバックボーンとなっていたのです。
3. 多角的な視点で人間と歴史を理解する
安吾という人物を多角的に理解するためには、遺族による記録も欠かせません。
◯『安吾のいる風景』(著・坂口綱男、春陽堂書店)
安吾の長男である写真家・坂口綱男さんによるフォト・エッセイ。故郷の海や、安吾が残した時計、行きつけの店など、貴重な写真がまとめられた1冊です。
――『ビジネスエリートのための 教養としての文豪』より
安吾の長男である写真家・坂口綱男さんによるフォト・エッセイ。故郷の海や、安吾が残した時計、行きつけの店など、貴重な写真がまとめられた1冊です。
――『ビジネスエリートのための 教養としての文豪』より
偉大な人物の功績や思想を学ぶ際、一つの視点だけでなく、日常の断片やゆかりの品といった立体的なアプローチで理解を深める姿勢は、ビジネスにおけるリサーチや分析にも応用できます。
安吾の作品に触れることは、既存の枠組みに囚われない「思考の柔軟性」を養う絶好の機会となるはずです。


