
「やめておいた方がいい」――BYDが日本で軽自動車をやることについて中国本社に意見を求められた日本法人の社長は、正直にそう答えたという。競争は激烈だし、日本専用設計だから海外への横展開も望めない。反対の理由はどれも至極まっとうだ。それでもBYDは軽EV「ラッコ」を造ってしまった。トップの反対を押し切ってまで、なぜ? その舞台裏を東福寺厚樹社長にシツコク伺いました。なお今回も、ヨタ話は本編のあとに掲載しています。(コラムニスト フェルディナント・ヤマグチ)
「BYDが軽自動車をやる」ことに、日本法人の社長は反対だった
中国の自動車メーカーBYDが、日本国内で電動軽自動車の販売を開始したことは、先週の試乗記でお伝えした通り(参考記事)。みんな大好き中国製、ということで賛否両論、喧々囂々。良くも悪くも大きな話題になっている。
BYD Auto Japanの東福寺厚樹代表取締役社長はしかし、当初BYDが日本専用の軽自動車を開発・販売することに反対していたという。
日本の新車市場で軽自動車が占める割合は大きく、4割に迫る勢いだ。そしてその市場は、スズキ、ダイハツ、ホンダ、日産・三菱の国内メーカーが長年にわたり熾烈なバトルを繰り広げる文字通りのレッドオーシャン。全長3.4m、全幅1.48mというサイズに、最高出力64馬力の自主規制もある。日本独自の規格に合わせて開発しなければならず、せっかく造っても海外への横展開は期待できない。こうした背景もあり、日本の実情を熟知した東福寺氏からすれば、海外メーカーがわざわざ新規参入などしなくても……というのが本当のところだろう。
日本市場専用に開発された軽EV「BYD RACCO(ラッコ)」(広報写真)
だから中国本社から「BYDが軽自動車をやることをどう思うか」と意見を求められた際、東福寺社長は「やめておいた方がいい」と正直に答えたのである。
BYDはしかし、日本法人トップの反対を採らなかった。そして数年後、本当に軽自動車を造ってしまった。
なぜBYDは日本法人トップの反対を押し切ってまで、世界でも特殊な日本の軽自動車市場へ参入したのか。東福寺社長に直接お話を伺った。







