年齢を重ねても、旅行や趣味を楽しみ、行きたい場所にどんどん出かけていく人がいる。一方で、家にこもって退屈そうにすごす人もいる。その違いは、いったいどこで生まれるのか。医師で老年医学の専門家であるガブリエル・ライオンによる『筋肉が全て━━健康・不老・メンタル、人生のすべてが変わる唯一の方法』から、何歳になっても人生を楽しむために、若いうちから知っておきたいことを紹介する。(ダイヤモンド社書籍編集局・三浦岳)
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「身体の自由」を守る
老後の充実した日々を思い描くとき、多くの人は旅行や十分な資金を想像する。しかし、行きたい場所へ自らの足で歩み、新たな経験を楽しむ前提となるのは、思い通りに動く身体の自由だ。
そして、その自由は老後になってから突然手に入るものではない。人生後半になっても毎日を楽しめる人は、若いうちから筋トレを続け、身体を支える筋肉を維持している。筋肉は、豊かな老後を送るために、若いうちから「貯めておく」べき大切な資産なのだ。
医師で老年医学の専門家であるガブリエル・ライオンは、著書『筋肉が全て』で、私たちの肉体が、自覚症状が現れるはるか手前の段階から、静かに退化している現実を警告する。
その影響が外見に表れるずっと前に、身体は目に見えないところで変化している。
筋肉の維持に真剣に努めなければ、サルコペニア(筋肉減少症。加齢による筋肉量の減少と筋肉組織の機能低下)のリスクにさらされることになる。
サルコペニアという言葉は知らなくても、それが何であるかはだれもが知っている。
高齢の親や親戚の身長が年々縮んでいくのを見たことがある人は多いはずだ。
ケガの治療でギプスをしたことがある人は、それを外したとき、筋肉が弱々しくなっているのに気づいたことがあるだろう。
それがサルコペニアだ。――『筋肉が全て』より
この忍び寄る衰えに抗う人々は、分解されていく身体に対して能動的にアプローチする。筋肉を維持することは、老化を遅らせる唯一の防壁となる。
放っておくと筋肉はどんどん落ちていく
筋肉の分解(異化)は年を取るにつれて加速度的に進むので、放っておくと身体はどんどん衰える。
だが、筋肉を構築する同化〔訳注:小さな分子を使って身体に必要な物質を合成する反応〕のプロセスを維持すれば身を守ることができる。
肥満が進むと代謝バランスが崩れて炎症が悪化するが、筋肉の質を維持すればそうした問題も防げる。――同書より
逆に、運動を怠り筋肉の質を低下させると、深刻な機能障害が忍び寄る。筋肉の衰えは活動範囲を狭めるだけでなく、全身の代謝バランスを破壊し、さまざまな疾患を引き起こす。
脂肪がついた筋肉や、座りっぱなしの生活で損傷した筋肉は、栄養素を感知したり、運動に効果的に反応できなくなる。
運動後に必要な回復も十分ではなくなる。
筋肉が衰えると代謝のバランスが崩れ、アルツハイマー病、心血管疾患、高血圧などのリスクが高まる。
肥満を克服することがなんとしても必要だ。――同書より
毎日を愉しむための健やかな肉体は、受動的な休息からは生まれない。
日々の食事で適切な栄養を補給し、トレーニングによって「同化」を促す。
この自律的な選択の繰り返しこそが、未来の行動の自由を担保し、何歳になっても人生を謳歌するための揺るぎない土台となる。







