同じように年齢を重ねていても、日々の幸せを感じながら生きる人もいれば、気力や活力を失っていく人もいる。その違いは、いったいどこから生まれるのだろうか。医師で老年医学の専門家、ガブリエル・ライオン博士の著書『筋肉が全て━━健康・不老・メンタル、人生のすべてが変わる唯一の方法』から、40代からの人生をより豊かにするヒントを紹介する。(ダイヤモンド社書籍編集局・三浦岳)

40代から「幸せが増えていく人」の特徴・ベスト1Photo: Adobe Stock

運動で「マイオカイン」を出す

 40代を迎えると、人生の優先順位や幸福に対する価値観は少しずつ変化していく。若い頃のようにがむしゃらに上を目指すだけでなく、自分自身の心身の健やかさや、日々を気分よく過ごせることに、より大きな価値を感じるようになる時期だ。

 では、40代から年を重ねるにつれて、幸せを感じることが増えていく人と、そうでない人では、何が違うのだろうか。その違いを考えるうえで注目したいのが、日常生活に「筋力トレーニング」を取り入れることだ。

 多くの人は、運動を単なる体重管理や体型維持のための手段と考えている。

 しかし、医師で老年医学の専門家であるガブリエル・ライオン博士は著書『筋肉が全て』の中で、筋肉という存在を「生命活動を内側から支える最大の代謝・内分泌器官」と定義し、その存在そのものが私たちの人生の豊かさを直接規定すると指摘する。

マイオカインという強力な分子について学んだことで、私は筋肉の重要な機能を知り、食事と運動についての考え方を変えた。
望ましい代謝を実現するための強力なツールとしての運動と、脂肪を増やさない食事の重要性がわかったのだ。筋肉の質は生活の質に直結している。筋肉が健康なら、よりよい生活が送れる。――『筋肉が全て』より

 筋肉を収縮させること、すなわち筋トレは、単にカロリーを消費する作業ではない。筋肉を動かすと、「マイオカイン」と呼ばれる、体のさまざまな働きを調整する物質が筋肉から分泌される。マイオカインは全身をめぐり、脳をはじめとするさまざまな器官に働きかける。

筋トレは脳にも好影響がある

マイオカインは幸福感と学習能力も向上させる。運動することで脳への血流が増し、毒素の除去が進むだけでなく、新たな脳細胞の発達が促されることが明らかになっている。――同書より

 40代以降の幸福感を支えるのは、日々の前向きな気分や明晰な思考力だ。筋トレなどの運動は、脳由来神経栄養因子(BDNF)の働きや脳への血流に好影響を与え、脳の健康を支えることがわかっている。さらに、運動習慣は気分の改善やストレスへの対処にも役立つと考えられている。

 筋肉を鍛えることは、身体だけでなく、心や脳の健康にもつながっている。

 老化をただ手をこまねいて見つめるのではなく、自らの筋肉を鍛え、その恩恵を全身に巡らせる。こうした習慣を持つことが、40代以降も心身の活力を保ち、日々のなかで幸せを感じる機会を増やしていく。

 今日、どのような選択をするか。その小さな決断の積み重ねが、年齢を重ねるほど幸せを感じられる後半生につながっていく。