身体の衰えは、いったい何歳ごろから始まるのだろうか。そして、その変化に対して私たちにできることはあるのだろうか。医師で老年医学の専門家であるガブリエル・ライオン博士は、著書『筋肉が全て━━健康・不老・メンタル、人生のすべてが変わる唯一の方法』で、加齢に伴う身体の変化と、それに対抗するための具体的な方法を紹介している。年齢を重ねても健康と活力を維持するために、今から何を始めればいいのか。(ダイヤモンド社書籍編集局・三浦岳)
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老化は意外と早くから始まっている
年齢を重ねるにつれて、私たちの身体は少しずつ衰えていく。しかし、その速度は誰もが同じではない。年齢を重ねても若々しく活動的な人がいる一方で、身体機能が急速に低下していく人もいる。
その差を生む大きな要因の一つが、「運動を継続しているかどうか」だ。
老化というプロセスは、私たちが意識するよりもはるか手前、30代という早い段階から静かに始まっている。この段階から、いかに筋肉を保護し、その再構築を促すかが将来の分岐点となる。
筋タンパク質合成の回復に関するエビデンスは、早期に適切な対策を講じれば筋肉組織を保護するだけでなく、回復することさえ可能なことを示している。
このことからも、若いときに適切なタンパク質摂取について学び、実行することが大事だとわかる。しかも、ロイシンに富むタンパク質を食事に追加すると、血糖値の安定にも役立つことが研究によって明らかになっている。――『筋肉が全て』より
筋肉は単に身体を動かすための組織ではなく、全身の糖代謝をコントロールし、生命活動を支える最大の代謝器官だ。そして、筋肉をはじめとする私たちの身体そのものを構成し、すべての化学反応を司っているのがタンパク質という栄養素である。
タンパク質が重要なカギ
この重要な栄養素は、身体の構造を形成するだけでなく、筋肉を含む全身の組織や器官の機能を調節して、生命活動のすべてを管理している。
体内で起こるあらゆる化学反応の触媒となる酵素もタンパク質の一種だし、エネルギー生産や細胞間のコミュニケーションを支えてもいる。――同書より
この重要なタンパク質を筋肉の構築へと結びつけ、全身の若々しさを維持するための最強のスイッチとなるのが、日々の運動刺激だ。どれほど年齢を重ねようとも、筋肉は裏切ることなくその刺激に応えてくれる。
加齢のせいで必要な活動量を維持できなくなった人も、強く健康になることができる。病気やケガの治療中でも、コントロールされた安全な方法で活動レベルを高める方策は無数にある。
効果を上げるためには、気分に左右されることなく身体を動かし続けることが大切だ。今日はトレーニングを始める日だと自分に言い聞かせよう。――同書より
「疲れているから」「やる気が出ないから」と、一時的な感情に流されて運動を先延ばしにするのは簡単だ。
しかし、そうした目先の快適さを選ぶことの積み重ねが、将来的に大きな衰えを招く。
感情ではなく仕組みとして、日々淡々と身体を動かし、適切な栄養を補給し続ける。この一貫した自律の継続こそが、時間の流れに抗い、生涯にわたって高い生活の質と活力を維持するための最も確実な投資となる。







