コミュニティーができれば、その中にスパイが潜り込みやすくなるだけでなく、日本人がそこに出入りするようになり、地域の人間関係や情報も集まりやすくなる。
観光地や投資案件に見えるものが、時間をかけて情報収集の拠点に変わっていく。これが、表面だけを見ていては気づきにくい「転用」の怖さです。
名義だけでは見えてこない
土地の「実質的支配者」
では、こうした土地の本当の所有者、あるいは実質的な支配者を、どう見抜けばいいのでしょうか。ここが、今後の日本にとって非常に大きな課題です。
ただ、土地を売った人たちは、売った直後にはそこまで異変に気づかないことが多いのです。
売った相手は日本人に見えた。日本企業だと思っていた。社長の名前も日本人名だった。だから、通常の取引だと思っていた。
ところが、売却後しばらくしてから妙な変化に気づく。
・副社長が実は中国系だった
・役員の中に外国人が増えている
・いつの間にか資本比率が変わっている
・表に立っていた人物はそのままでも、実態としては別の勢力が入っていた
こういう話は珍しくありません。
つまり、問題は「買った瞬間に誰の名義だったか」だけではないのです。買った後に、その会社や土地の実態がどう変わっていくかまで見なければ、外国からの脅威に備えることはできません。
高市政権が進めている、外国人による土地所有の実態把握の動きには、私は大きな意義があると思っています。もちろん、これだけで万全ではありません。
これからも、表には日本人を立て、会社名義で取得し、後から役員や資本構成を変えていく手法は続くでしょう。しかし、それでもまず「今、誰が持っているのか」「どういう会社が所有しているのか」を可視化することには意味があります。
なぜなら、実態が見えるようになるだけでも抑止効果があるからです。
土地を「誰が支配しているか」
見える仕組みが必要になる
今までは、買った後にどう変わっていくかが見えにくかった。しかし、もし会社名義で持っている土地について、その会社の役員構成、株式比率、資本の出どころまで、ある程度、一覧でわかるようになればどうか。
『日本を静かに侵食するスパイの手口』(勝丸円覚・青春出版社)
社長は日本人名でも、役員には外国系の人物が多い。株式比率を見ると、東南アジア系のファンドが大部分を押さえている。しかも、その背後には中国資本がある――そこまで見えるようになれば、少なくとも「ただの日本企業だと思っていた」という認識は崩れます。
本来であれば、こうした情報はもっとオンライン化され、リアルタイムに近い形で把握できるようにすべきです。登記簿を1件1件取り寄せるようなやり方では、一般の人も企業も手間がかかりすぎて、忙しい場合はそこまで確認しないでしょう。その結果、実態が見えないまま売買契約が進んでしまうのです。
土地の所有者が会社であるなら、その会社の実態もわかる。しかも、過去にどう変化してきたかという履歴も見える。そこまで整えば、かなり違います。
危険を早めに把握するためには、土地所有の可視化が不可欠です。







