ハロッズ前の駐車禁止区域に、カタールナンバーの40万ドルのフェラーリ「プロサングエ」が駐車されていたKATE LYNCH/WSJ
【ロンドン】最近のある日、漆黒のランドローバー「ディフェンダーP400」が高級百貨店ハロッズの前にある駐車禁止区域に入り込むと、いくつかのゴミ袋のすぐ脇に車体を斜めにして停車した。車の後部は道路に突き出ていた。
カタールのナンバープレートを付けたこの洗練されたスポーツタイプ多目的車(SUV)のドライバーはギアをパーキングに入れ、車外に出るとハロッズの中へ入っていった。後ろから来る車が、その横を蛇行して通りながら次々とクラクションを鳴らした。
ロンドンの高級エリアには厄介な問題がある。外国ナンバーのスーパーカーが好き勝手な場所に駐車し、ドライバーが踏み倒す違反切符が増える一方なのだ。
ロンドンの高級地区は一年中、見せびらかすような車の展示場と化しており、制限速度が時速20マイル(約32キロメートル)の道路をV12エンジンがごう音を立てて走る。夏になると、これらの地域は中東のナンバープレートを付けたフェラーリやランボルギーニ、マクラーレンで特に混雑する。ドライバーらが湾岸地域の灼熱(しゃくねつ)の暑さを逃れ、避暑にやって来るためだ。
ロンドンの高級地区には地下駐車場がほとんどない。大型のロールス・ロイスやベントレーが、庶民的なホンダ「シビック」やフィアットとバンパーをこすり合わせながら、路上のスペースを取り合っている。
駐車スペースが不足すると、スーパーカーのドライバーは荷物の積み下ろし区域やバス停、あるいは二重の黄色い線で示された場所――英国では「駐車禁止」の意味――を利用しがちだ。
ハロッズはこうした違反行為の多発地点になっている。高級品を買い求める外国人はこの老舗百貨店に群がる。店内では38ドル(約6000円)の和牛サンドイッチから12万ドルの花瓶まで扱っており、顧客は高さ約2.4メートルの金庫を年間2万4000ドルで借りることもできる。駐車違反切符は150〜215ドルだ。








