エルメスの時計に立ちはだかる「バーキン」人気Photo:Edward Berthelot/gettyimages

 エルメス の時計ほど、高級ハンドバッグ「バーキン」を手に入れるためだけに買った、と言われるものはない。

 フランスの高級ブランド、エルメスが高級機械式時計メーカーとして本格的に認められようと取り組む中で、少なくともそれは払拭しようとしているイメージだ。中古品価格の動向は、エルメスの取り組みがなぜ困難に直面しているのかを物語っている。

 エルメスの時計部門はここ数年間に最も急成長している事業の一つで、2019年以降、事業規模はほぼ3倍に拡大した。25年は販売が低迷したものの、時計事業の売上高は5億ユーロ(約907億円)を突破した。

 これは素晴らしい数字だが、エルメスの時計は依然として「バーキン」を入手するための「餌」とみなされがちだ。つまり、人気の高いバーキンを何としても買いたい消費者が、バーキンの提供を受けるために購入する商品というわけだ。

 エルメスははっきり認めているわけではないが、 「バーキン」収集家 の間では、そのバッグを提供されるためには他のエルメス商品に多額のカネを費やさなくてはならないと認識されている。時計に数万ドルを費やすことは、顧客に「バーキン」を割り当てる販売担当者に好意を持たれるためのいい方法だ。

 だが、中古品の販売サイトには、新品同様のエルメスの時計が数多く出品されている。これはエルメスの時計を購入した消費者がすぐに転売し、購入資金の一部を回収しようとしていることを示唆している可能性がある。

 米国最大の高級品リセールプラットフォーム「 ザ・リアルリアル 」では、過去5年間に販売されたエルメスの新品同様の時計が、シャネルの時計の3倍に達した。一方、モルガン・スタンレーの推計によると、両ブランドの年間時計販売個数はほぼ同じだ。

 また、同じ期間におけるカルティエの新品同様の時計の販売個数はエルメスの時計より33%多かったが、カルティエの年間時計生産個数はエルメスの10倍に上る。