仕事の「ムダ」と聞くと、何を思い浮かべるでしょうか。必要のない会議、長すぎるメール、使われない資料づくり。もちろん、こうした作業を減らすことも大切です。しかし、もっと大きなムダが日々の仕事の中で発生している可能性があります。しかも、そのムダは目に見えないため、本人もなかなか気づきません。今回は書籍『「今日も仕事が終わらなかった」はなぜ起きるのか? 仕事が3倍速くなる計画・実行・中断の技術』から、多くの人が見落としている仕事のムダについて紹介します。

仕事のムダに「気づいていない人」の致命的な特徴・ワースト1Photo: Adobe Stock

仕事の典型的なムダは「手戻り」

わかりやすいムダの代表が「手戻り」です。

たとえば、資料を最後までつくったのに、上司から「方向性が違う」と言われて最初からつくり直す。せっかく2時間かけて作業したのに、その2時間がムダになり、もう一度手を動かすことになります。

だから仕事ができる人は、最初に方向性を確認したり、途中で上司に見せたりして、なるべく手戻りが発生しないようにします。しかし、仕事にはこの「手戻り」よりも厄介なムダがあります。

本当に怖いのは「頭戻り」

それが、本書で紹介されている「アタマ戻り」です。資料をつくっている途中でやめて、1日中断してしまう。2日空いてしまう。そうして、しばらくして再び資料に戻ったとき、「あれ、さっき何を考えていたんだっけ?」となってしまいます。

作業していたファイルはそのまま残っていても、頭の中にあった思考は確実に消えていきます。もう一度資料を読み直し、「どこまで考えたんだっけ」「次は何をするつもりだったんだっけ」と、頭を元の場所まで戻さなければなりません。これが「頭戻り」です。

「手戻り」より「頭戻り」のほうが厄介な理由

手戻りなら、極端にいえばもう一度同じ作業をすれば元の地点まで戻れます。

しかし、頭戻りはそう簡単ではありません。中断する直前に「この切り口なら企画がうまくまとまりそうだ」と思いついていたとしても、そのアイデアがもう一度出てくる保証はありません。せっかく考えがつながり始めていたのに、中断によって消えてしまうこともあります。

しかも一般に、決まった作業をもう一度繰り返すより、「自分は何を考えていたのか」を思い出し、再び思考を組み立てるほうが負荷は高くなります。「頭戻り」は、見えにくいのに大きなムダなのです。

中断するなら「頭」を残す

では、頭戻りを減らすにはどうすればいいのでしょうか。

まず重要なのは、むやみに仕事を切り替えないことです。一つの仕事に集中できれば、そもそも頭を元の状態に戻す必要がありません。

そして、どうしても中断しなければならないときには、「どこまでやったか」だけでなく、「今何を考えているか」「次に何を考えるつもりだったか」まで残しておく。たとえば「3ページ目まで作成」だけではなく、「3ページ目まで作成。競合との違いを価格ではなく使いやすさで説明できそう」と書いておく。これなら、再開したときに思考まで戻しやすくなります。

本当に守るべきなのは、一度進んだ「頭」を後ろに戻さないことなのです。