健康診断で厄介者扱いされる「悪玉コレステロール」。とにかく数値を減らそうと極端な食事制限をしていませんか? 実はその正体は、生命維持に欠かせないものなのです。では、なぜ「悪玉」と呼ばれるのか? 著書『脳の専門医が教える 100歳までボケない脳「ミクログリア」が味方する6つの習慣術』をベースに、誤解されがちなその役割と、血管の健康を守る「正しい付き合い方」を紐解きます。

【脳の専門医が教える】医学的に正しい「悪玉コレステロール」との付き合い方・ベスト1Photo: Adobe Stock

「悪玉」コレステロールの正体は?

健康診断の結果で「LDLコレステロール」の数値が高く、再検査や食事指導を受けた経験があるビジネスパーソンは多いはず。世間一般では「悪玉コレステロール」という不名誉な名前ですっかり定着しており、とにかく数値をゼロに近づけなければならない“絶対悪”のように思われがちです。

しかし、LDLコレステロールを単なる「悪」と決めつけるのは、少し早計かもしれません。

コレステロール代謝の中枢である「肝臓」から、この貴重な「脂質」を全身の細胞へと届ける“配送トラック”の役割を担うのが、LDLコレステロールの本来の姿。そう聞けば、「悪玉」と呼ぶのはためらわれるでしょう。
――『脳の専門医が教える 100歳までボケない脳「ミクログリア」が味方する6つの習慣術』より

実はコレステロール自体は、細胞膜を形成したり、心身のバランスを保つホルモンの材料になったりと、私たちの生命活動を維持する上でなくてはならない重要な物質です。

LDLコレステロールは、その大切な資材を生産工場である肝臓から全身の隅々の細胞へと送り届ける、非常に真面目で働き者な「配送トラック」なのです。

トラックが増えすぎると、血管内に“渋滞”が起きる

では、なぜそれほど重要な役割を担っているにもかかわらず、「悪玉」というレッテルを貼られてしまったのでしょうか? その理由は、働きそのものではなく「量」にありました。

問題は、その“過剰さ”にあるのです。配送トラックが多すぎると、届けられるコレステロールもまた余剰となり、“血管という道路”の壁に溜め込まれてしまいます。この余剰コレステロールが動脈硬化という“渋滞”を引き起こす張本人であることから、あえて「悪玉」と呼ばれているのです。
――『脳の専門医が教える 100歳までボケない脳「ミクログリア」が味方する6つの習慣術』より

私たちの運動不足や乱れた食生活などが重なると、体内のバランスが崩れ、この配送トラックが過剰に出動してしまいます。

その結果、行き場を失った余分なコレステロールが道路(血管)の壁に“不法投棄”のように積み重なり、血液の流れを阻害する「動脈硬化」を引き起こしてしまうのです。

「減らす」のではなく「適正な交通量」にコントロールする

このメカニズムを理解すれば、私たちが取るべき対策も見えてきます。コレステロールを極端に敵視して肉や卵を一切絶つような過度な食事制限は、かえって体の細胞やホルモンの働きを弱めてしまう可能性があります。

重要なのは、配送トラックの「交通渋滞」を解消することです。適度な有酸素運動で代謝を促し、トラックの出動量を適正に保つこと。そして、血管内の余分なコレステロールを回収してくれる「善玉(HDL)コレステロール」の働きを助けるために、青魚の脂(EPA・DHA)を取り入れたり、食物繊維を積極的に摂取することが効果的です。

LDLコレステロールは、決してあなたを苦しめるために存在しているわけではありません。自身の体の「物流システム」を労わるつもりで、日々の生活習慣を見直してみてはいかがでしょうか。