定年後は、仕事に追われることもなく、好きなことをして自由に暮らせる――。そう考えると、老後は楽しそうに思えます。しかし、毎日通っていた会社も、任されていた仕事も、肩書きもなくなったとき、それまで仕事に使っていた時間を何に使えばいいのでしょうか。『夢をかなえる 勉強の地図』の著者・岩下充志氏は、51歳で会社員を辞め、その後、57歳で司法試験に合格しました。そんな岩下氏が考える、老後も「退屈」と無縁でいるために、今から始めておきたいこととは。(構成・ダイヤモンド社書籍編集局)

老後「毎日が急につまらなくなる人」の特徴・ベスト1Photo: Adobe Stock

定年後「毎日がつまらない」

「定年したら、のんびり暮らしたい」
「仕事を辞めたら、好きなことをして過ごしたい」

忙しく働いていると、そんな老後に憧れることもあるだろう。
しかし、いざ仕事がなくなったとき、その「自由」が思っていたものとは違う可能性がある。

毎日の予定がなくなる。目標がなくなる。人から頼られる機会も減っていく。
では、老後「毎日が急につまらなくなる人」には、どんな特徴があるのだろうか。

「肩書きがなくなった後」の自分を考えていない

『夢をかなえる 勉強の地図』の著者・岩下充志氏は、51歳のとき、自分の将来にこんな恐怖を抱いていたという。

当時51歳。私の中には、こんな恐怖があったのです。
55歳を過ぎると外資系の上級ポジションへの転職は難しくなる。上手く転職できずにリタイアすれば、さまざまな肩書きもなくなる。これまで積み上げてきたものが通用しなくなり、自分は「ただのおじいさん」になってしまう。特段やることもない生活になり、ただ人生のサンセットを眺めるだけの存在になる。
元来暇が何より嫌いな私にとって、それはとても恐ろしい光景でした。
だからこそ、地位や肩書きではない、自分自身の価値を手に入れたいと思ったのです。

――『夢をかなえる 勉強の地図』より引用

仕事をしている間は、会社での役割や肩書きがある。
しかし、それらがなくなったとき、「自分には何が残るのか」。

そこを考えないまま定年を迎えると、それまで仕事で埋まっていた時間が、一気に「やることのない時間」に変わってしまうかもしれない。
しかも、老後の時間は想像以上に長い。

現代の日本において、定年退職を迎えるのは一般的に65歳前後。そして、平均寿命はすでに80代半ばに達しています。つまり、私たちには仕事を辞めた後、およそ20年分もの空白の時間が待ち受けているのです。
(中略)
どうすればそれに抗えるのか。その答えが、自分自身に付加価値を付けること、つまり「勉強」だと思うのです。

――『夢をかなえる 勉強の地図』より引用

何歳からでも「自分」は更新できる

ここでいう勉強は、仕事に役立つ資格の勉強だけではない。
「もっとおいしいコーヒーを飲みたい」と、豆の種類や産地、焙煎について学ぶ。親の介護や相続をきっかけに、お金や社会制度について勉強する。

そんな身近なきっかけから始めてもいい。

どんなに些細なものであっても、知識をインプットすることは、付加価値の積み増し。自分の成長を実感できる行為です。さらに、軽く学んでみたことを入口にして、思ってもみなかったジャンルへと興味が広がっていくこともあるでしょう。新しい趣味や仕事が見つかるかもしれません。
何かを学ぶと、必ず自分が更新されます。そうやって自分の変化を感じ続けることは、日々の張り合いになり、人生の後半戦に待ち受ける「退屈」という恐怖も打ち破ってくれると思うのです。

――『夢をかなえる 勉強の地図』より引用

何歳になっても、「昨日まで知らなかったこと」を知ることはできる。
そこから新しい趣味が生まれたり、新しい仕事につながったり、思いもしなかった世界が広がったりする。

仕事を辞めたからといって、人生まで止まるわけではない。
学び続ける限り、自分自身も更新し続けることができる。

老後の20年を、ただ時間を潰すだけの「余った時間」にするのか。それとも、「次は何を知ろう」「何をやってみよう」と思える時間にするのか。
人生の後半戦をおもしろくするための種は、定年してからではなく、今からまくことができるのだ。