子どもと公園に行ったとき、「せっかくなら、体や脳の発達につながる遊びをしてほしい」と思う親は多いのではないだろうか。じつは、公園にある身近な遊具のなかに、子どもの成長にうれしい効果が期待できるものがある。楽しみながら遊ぶだけなので、特別なトレーニングも必要ない。では、公園に行ったら積極的に遊んでほしい「遊具」とは何だろうか。『医師が教える 子どもの習慣 50の基本』から一部抜粋してお届けする。(ダイヤモンド社書籍編集局)
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「にぎる力」は、脳の力?
高齢者が「運動したほうが認知症は防げますよ」とアドバイスされて、運動を心がけるのはよく聞く話です。とくに握力は大切で、実際に握力の高い高齢者のほうが、脳機能が高いことを示す研究が複数あります(20,21)。
同じように子どもの握力も大切です。子どもの握力と神経発達の関係も研究されていて、2歳の時点での握力と発達は相関することが示されています。
2023年にニュージーランドで発表された、32~35週に生まれた早産の子どもたち116人を、修正2歳(生後2年ではなく、40週で産まれていたとしたら2歳になっているとき)の時点で、子ども用の握力計で握力を測定し、「ベイリーの発達スケール」という発達の度合いを測る発達心理検査を実施した研究があります。
修正2歳の時点で神経発達、つまり表現力・理解力・コミュニケーション力・運動能力がより進んでいた子は、そうでない子より握力が高かったという結果でした(22)。
早産で生まれたお子さんは、本来お母さんのおなかのなかで起きる予定だった脳や神経の発達を、生まれてから外の世界で続けていくことになります。そのため、発達のペースがゆっくりに見えることも少なくありません。こうした発達のゆっくりさは早産児によく見られる自然な経過であり、多くのお子さんが時間とともに追いついていきます。
メタ解析で、筋力運動をしている子のほうが学力を含め、生活の質が高かったと結論づけるデータもあります(23)。
公園に行ったら「うんてい」で遊ぼう
文部科学省では子どもの体力測定を記録し、子どもたちの体力を上げるための施策を立てています。平成6(1994)年と令和6(2024)年の小学5年生・11歳の男女平均の数値では、握力が落ちていることがわかっています(24)。
同じ期間の小学生の学力が同様に低下していると示すことのできるデータはありませんが、学力低下の傾向にはあるようです(25)。
子どもの握力を鍛え心身の発達を促すために、公園や校庭で、平行うんていを使ってたくさん遊びましょう。子どもと一緒に公園へ行ったら、積極的にうんていや鉄棒で遊ぶよう声がけできるとよいですね。
室内でも、腹ばい、高ばい、手押し車、カエル跳びなど、毎日できることがあります。ぞうきんがけも有効です。手のひらを大きく開き、ぞうきんをぎゅっとつかむのがポイントです。
手軽に買えるハンドグリップを使って毎日「にぎにぎ」するのもおすすめ。家族全員で楽しくトレーニングできます。月に1回、握力計(お手頃のものがネットで販売されています)で家族そろって測定し、数値目標を立ててみるのもよいですね。楽しみながら握力アップをすることで、脳機能の向上にもつながるかもしれません。
21 Chong JSX, Chua KY, Ng KK, et al. Higher handgrip strength is linked to higher salience ventral attention functional network segregation in older adults. Commun Biol. 2024;7(1):214. doi: 10.1038/s42003-024-05862-x.
22 Aoyama T, Alexander T, Asadi S, et al. Determinants of handgrip strength at age 2 years in children born moderate and late preterm and associations with neurodevelopmental outcomes. Early Hum Dev. 2023;180:105750. doi: 10.1016/j.earlhumdev.2023.105750.
23 León-Reyes BB, Galeano-Rojas D, Gámez-Vílchez M, et al. Strength training in children: A systematic review study. Children (Basel). 2025;12(5):623. doi: 10.3390/children12050623.
24 文部科学省. 子供の体力の推移(すいい)について. [cited 2026 Jul 31]. Available from: https://www.mext.go.jp/kids/find/sports/mext_0002.html
25 日本経済新聞. 小4・5の算数、学力低下の可能性. [cited 2026 Jul 31]. Available from: 埼玉県教委(2021年5月11日18時45分). [cited 2026 Jul 31]. Available from: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC117U00R10C21A5000000/
赤坂ファミリークリニック院長/小児科医/MD, MPH/BCIA認定ニューロフィードバック認定医
NPO法人Healthy Children, Healthy Lives代表理事。
東京外国語大学卒、帝京大学医学部卒、東京大学大学院医学系研究科修了。
医師になる前から同時通訳者として天皇陛下や歴代首相、米国大統領の通訳を務め、現在も医学系会議を中心に活動している。通訳の仕事をしながら2児をもうけたあと、40歳で医学部を受験し、医師に。卓越した英語力を武器に、海外の学術論文から日々最新の情報をアップデートしている。メディア出演も多く、わかりやすい説明と親しみやすい人柄で子どもはもちろん、その親からの信頼も厚い。著書に『医師が教える 子どもの食事 50の基本』(ダイヤモンド社)などがある。








