作業中にスマートフォンを確認する女性写真はイメージです Photo:PIXTA

メールやチャットの通知が鳴るたびに、反射的に返信してはいないだろうか。一見すると仕事が早く、相手への配慮にも見える「即レス」だが、そのたびに深い集中は途切れている。自分の時間と注意力を取り戻すために必要な情報整理術を解説する。※本稿は、戦略コンサルタントの山本大平『仕事ができる人の超整理術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・編集したものです。

脳内メモリを食いつぶす
「通知」というノイズ

「よし、ここから一気に企画書を書き上げよう」

 そう決意してキーボードに手を置いた瞬間、画面の右上に「ピコン」という軽快な音とともにチャットのポップアップが表示される。
 つい目で追ってしまい、「あ、これはすぐに返せそうだな」と作業を中断して返信する。

 元の画面に戻ると、先ほどまで頭のなかに組み上がっていたロジックの糸は完全に途切れており、また一から思考の助走をやり直す羽目になる。

 現代のオフィスワーカーは、常にこの「通知の嵐」のなかで溺れかけています。

 メール、チャットツール、社内SNS……。

 私たちが使っている便利なツールは皮肉なことに、集中力を細切れに破壊する最大の脅威となっています。

 真面目な人ほど、「来た連絡にはなるべく早く返すべきだ」と思い込みがちですが、その価値観でいる限り、自分の時間をコントロールすることは一生できません。

 ここでは、脳内メモリを食いつぶす「通知」というノイズから脳を隔離し、圧倒的な集中力を取り戻すための情報の整理術を見ていきましょう。

「脳のリモコン」を
他人に渡してはダメ

 まず認識すべきは、デジタルツールの通知とは、単なる親切なお知らせではないということです。

 それは、他人があなたの脳のスイッチを勝手に押すことができる「外部リモコン」なのです。

 通知が鳴るたびに作業を止めて画面を確認する行為は、自分の限られたリソースの配分決定権を、自分に関係ないタイミングで連絡してくる他人に丸投げしている状態と同じです。

 そして、あなたの注意力は誰でも無料でアクセスできる「公共の公園」ではありません。

 仕事ができる人、すなわち成果を出し続ける人は、自分の集中力を「厳重にロックされた金庫」のように扱い、決して他人に自分の脳のリモコンを明け渡したりはしないのです。

1分の返信がもたらす
「23分の集中力の損失」

 とはいえ、「チャットの返信なんてたった1分で終わるし、すぐに元の作業に戻れるから問題ないのでは?」と反論したくなるかもしれません。

 しかし、脳科学の観点から見ると、この「たった1分」という見積もりこそが致命的なエラーを引き起こしているのです。

 人間が深い思考に入っている状態から、一度別のタスクに意識を向け、再び元の深い集中状態に戻るまでには、約23分かかると言われています。

 つまり、「1分で終わるから」と軽い気持ちでチャットを返しに行くたびに、脳は「23分の集中力の負債」を背負わされているのです。

 1日に10回通知に反応すれば、それだけで200分の高度な思考時間がドブに捨てられる計算になります。