米イリノイ州シカゴでマーケティング会社を経営するブライアン・ディーマさんは、事業に関する助言をいつも父親に求めている。父親は4年前に亡くなったが、ディーマさんは父親の人工知能(AI)版を作った。シカゴでマーケティングとエンターテインメント制作に携わっていた父親のJ・リチャード・ディーマさんは、クライアントに関するメモや未完成の本を含む仕事関係の書類をファイルキャビネット5台分残していた。ブライアン・ディーマさんは自分だけの「リッチーボット」を作ろうと、その1万7500ページ分の情報を全てアンソロピックのAIモデル「クロード」に読み込ませた。 その後ディーマさんは、父親が残した留守番電話のメッセージを使ってボットの声を父親そっくりに訓練できないかと考えた。父親の3次元(3D)画像も作れるのではないかとも考えた。ディーマさんは、自社のチームに作業を指示したほか、友人たちの協力を仰いだ。その中の一人、スタンフォード大学の心理学者はチャットボットの人格設計を手伝ってくれた。総勢19人が6カ月かけてリチャード・ディーマさんをよみがえらせる作業に取り組んだ。 父親の頭部を3Dプリントで再現した模型と、テレビ画面、角度をつけた鏡を使い、父親のホログラムのようなものを作り出した。 「『不気味の谷』現象については非常に意図的に考慮し、あえて抽象的にした」とディーマさんは話す。「最初は少し不気味な笑顔だったので、もっと物思いに沈んだような表情にした」