通帳を見て悲しい表情を浮かべる男性写真はイメージです Photo:PIXTA

東京23区の家賃高騰により、若者たちが郊外へ流出しています。その背景には、単身向け物件の面積を制限する各区の「マンション条例」の存在がありました。若者の都心離れを加速させる“時代遅れなルール”の実態と解決策に迫ります。(スタイルアクト代表取締役/不動産コンサルタント 沖 有人)

家賃高騰で若者の限界突破
23区からの流出加速

 都市圏には毎年若者が集まってくるので人口が増える。年間の転入超過人口は東京圏(一都三県)で12万人を超えるが、その中でも東京23区の伸びが最も多い時期が長く続いた。

 2024年7月~2025年6月における転入超過人口は都区部が4万7105人だったが、2025年7月~2026年6月には2万7497人となっていた。1年で2万人弱も変化することは、コロナ禍以外には私の記憶にはない。同じ期間に、その周辺部(都下・神奈川県・埼玉県・千葉県)で約2万3000人増える結果となっている。

 この現象は主に2つの人口動態の合算の結果である。

 1つは地方から首都圏に来る人が都区部ではなく、その周辺部に住むケースである。もう1つは都区部に住んでいた人が周辺部に転出するケースである。これは、端的に人は郊外に居住するようになったということだ。

 このため、この傾向は少なくともあと1年は続くと思われる。なぜなら、賃貸借契約の更新時期は通常2年なので、全員が更新を迎えるのにはあと1年かかるからだ。

 いずれにしても、この移動人口の大半は賃貸居住者の単身の若者が占める。単身向け賃貸住宅の需要に相当する。この層が郊外に住むようになり始めている主たる原因は家賃・物価の高騰と想定される。現在の賃料の上げ幅は13%程で、引っ越そうと思うと周辺の同様の物件が13%値上がりしている状況にあることを意味する。