世の中をあっと言わせる偉業を成し遂げた人は、どんなことを考えていたのか。サラリーマンでありながらサンダンス映画祭で日本映画史上初のグランプリを受賞し、『あなたにしか作れないけれど、世界に通用してしまう 脚本の教室』を上梓した長久允氏の思考を辿ります。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
絶対誰にも言いたくない思い出を書く
どうしても許せないことがある。
そういう感情は、できれば人に見せたくないものです。
怒り、恨み、嫉妬、惨めさ、誰かへの強い拒否感。
そんな気持ちを抱くと、「こんなことを思うのは良くない」と、なかったことにしたくなる人も多いのではないでしょうか。
しかし、映画監督/脚本家の長久允(ながひさまこと)さんは、物語を作るための「裏ワザ」について、こう語っています。
絶対誰にも言いたくない思い出を書く
最もチートな裏技がこちらです。しかし最もハードな裏技とも言えます。
人には皆、親にも友人にも恋人にも、絶対に誰にも言いたくない思い出があるはず。私もあります。そんなものもちろん、脚本になんかしたくないですよね。知り合いどころか会ったこともない人に知られてしまうわけですから。
だけど、腹を括ってみましょう。そこを、切り売りしてみましょう。
それはきっとあなたにとって大事な、もしくは醜悪な事件だったと言えるでしょう。それはつまり、強い物語であるということでもあるのです。
また、あなたが人に言えない感情は、きっと同じ経験をした世界のどこかにいる誰かも同じ気持ちかもしれません。もしその人が観たら、強く深く共鳴してくれるでしょう。
――『あなたにしか作れないけれど、世界に通用してしまう 脚本の教室』p150-151より
言いたくないことをわざわざ書くなんて、難しいことです。
けれど長久さんは、そこに「強い物語」があると言います。
たしかに、前向きできれいな物語だけが、心に残るわけではありません。
人の心に刺さる物語には、もっと複雑で切実で、扱いにくい感情が入っていることもあります。
SNSに書けない感情は「金脈」
長久さんは、こうも語っています。
皆さんきっとSNSをやっていますよね。たとえば何かを投稿しようとしたときに、書いた文章を自分で推敲することがあるのではないでしょうか。これを言ったら不謹慎で炎上してしまうかもしれないな、とか、これは余計な心配をされすぎちゃうかもしれないな、とか。
そういう感情こそ、映画は受け止めてくれるのではないかと思うのです。つまり、SNSに書けない感情は金脈。そう思うのです。金脈というのは強い言葉すぎるかもしれないけれど。(中略)
そしてここからが大事なことなのですが、もしあなたがSNSに書けないことを「思った」とします。それが不謹慎で、誰かに言いづらい気持ちだったとしても、「思った」という事実は確かなことだと思うのです。映画はあなたのその「思った事実」を尊重してくれる受け皿だと思うのです。
――『あなたにしか作れないけれど、世界に通用してしまう 脚本の教室』p151-153より
SNSではなく、物語だからこそ、できることがある。
自分の本当の気持ちを消さずに、それを唯一無二の物語にすること。
それを実現するために、長久さんは背中を押してくれます。

世界が注目する脚本家が初めて明かす、
「自分にしかできない仕事」のつくりかた
5月30日 東京新聞「書評」掲載
4月12日 読売新聞「本よみうり堂」掲載
佐久間宣行さん、ラランド・サーヤさん絶賛!
MEGUMIさん愛読書!!
「それっぽいもの」ではなく、
「本当に心を動かすもの」を
表現がいまいちしっくりこない。
この仕事、自分がやらなくてもいいような気がする。
もっとおもしろいものを作りたい。
そんな悩みに、現役サラリーマンでありながら、海外の映画賞で「日本人初」の快挙を総ナメしてきた著者が答えます。
どうしたら、自分だけの表現をし、それを成果に結びつけられるのか。
どんな人でも、「あなたにしか作れない作品」を生み出せるようになる、まったく新しい脚本術が誕生しました!

本当のことしか書いていない。
これからの「世界のスタンダード」を伝える一冊
いま世界で本当に評価されるものは、「何かに似ているもの」ではありません。
ハリウッドで必ず聞かれること。それは、
“What’s your VOICE?”
あなたのボイスは何ですか?
ということです。
つまり、他の誰でもない「あなたが」何を伝えたいか、ということ。
では具体的にどうすればいいのか。
すべてを自分で切り開いてきた著者が、包み隠さず伝えます。
真剣に表現したいと思う人、自分らしさを失わずに働きたいと思う人に、とても響く内容です。
本書の内容
はじめに
「この本の結論を先に言います。」
「それっぽいもの」は最低だぜ!
王道の脚本方式と完全自己流の脚本方式をミックスして
そもそも脚本家ってどうやってなったらいいかわからない問題
Lesson0 世界一になるまでの変則ルート
「私が映画を作ったのは32歳から! おせ~!」
一度は夢をあきらめて、就職! (挫折期)
CMプランナーから、店頭ビデオプランナーに (朦朧期)
倒れて気づく。「クライアントは自分」
そして世界一。日本人初の快挙を、まさか私が。
「そもそも映画ってなんなの?」
Lesson1 何を書く?
「脚本ってなんですか?」
設計図としての書式
Step0 私は何を書くべきなのかを見つける
Lesson2 王道! ハリウッド式脚本法
「で、どうやって書くの?」
Step1 「ログライン」を書く
Step2 登場人物を作り込む
Step3 3幕構成にする
Step4 シーンを作る シーンカード入れ替え検証
Step5 セリフとト書きを書く
Interval あなたが天才かどうかという重要な話。
Lesson3 誰でもできる長久式脚本法
「めっちゃ変な書き方。それでいい。」
Step1 はじめに「怒り」と「悲しみ」がある
Step2 音楽を見つける
Step3 エンドロールの歌詞を書く
Step4 映画のタイトルを決める
Step5 ポエトリーリーディング脚本法
Step6 そのセリフをシーンや人物に振り分ける
Step7 音だけの2時間映画を作る
Step8 直し続ける
Lesson4 迷ったとき役立つかもしれない裏技集
「何も浮かばないよ!」
裏技1 絶対に誰にも言いたくない思い出を書く。
裏技2 SNSには書けない「よくない感情」という金脈
裏技3 会話のセリフがうまく書けないなら
裏技4 設定がうまく伝わってないと感じたら
裏技5 タイトルから考えちゃうっていうのはどう?
裏技6 「ポエトリーリーディング脚本法」に欠かせない号泣プレイリスト
裏技7 「うまい」は敵!
裏技8 極論! 10年書かないでみる
裏技9 おもしろくなくてもいいじゃないか(本気で言っている)
Lesson5 書いたあとどうする?
「映像化しちゃう?」
お金集めをどうするか(自腹、賞金、クラファンそれぞれのやり方)
予算別! 映画の作り方(10万円、100万円、1000万円)
実写映画撮影現場での時間削減工夫集(事前準備と心持ち)
ロケ場所についての具体的解決案
Lesson6 あなたにしか作れないものがある
「情緒不安定なあなたは向いている」
「当事者しか知らない感情がある」
「だから、本当のことしか書かない」……