完璧を求めて妥協ができない。中途半端なものを出して「できない奴だ」と思われたくない。「先のばし」や「完璧主義」を脱するための方法を、『おい、とりあえず終わらせろ』を書いたエンジニアのnwiizo(ぬうぃぞう)氏が伝えます。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

おい、とりあえず終わらせろPhoto: Adobe Stock

小さく出し直す

 上司からフィードバックをもらったら、取り組むべきは選別です。

 すべてを改善しようとしないこと。

 他者から見て必要な改善だけ選び、小さく出し直します。

 指摘されたことを最優先で潰しつつ、自分の仮説検証は別トラックで走らせる。

 1回で10個より、10回で10個。

 現に、プログラムの修正を1回で全部やろうとしたレビュー依頼は、なかなか通らなかった。反対に1か所ずつ直したものは、その日のうちに取り込まれた。

 全部を一度に直そうとするのは、改善における完璧主義だ。

いかに行動に変換するか

 受け手の失敗として顕著なのは、ひとつは「無視」でしょう。

 傷つきたくないから蓋をする。

 もうひとつは、言われた通りにそのまま直すこと。

 考えたくないから脳を止める。

 どちらも、自分の頭を使わないことで楽をしています。

 必要なのは、受け取った指摘を自分の中で一度分解し、「何を直すか」「なぜ直すか」「どう直すか」を再構成してから動くことです。

 受け取った言葉を検証し、自分なりに咀嚼し、行動に変えて戻す。

 たとえば、上司から「この資料、結論がわかりにくい」と言われたとき、結論を太字にするだけで終わる人と、「どこでわかりにくくなったんだろう。次回は冒頭に結論を置いてみよう」と行動に落とす人がいます。

 1年後、前者はまだ「結論がわかりにくい」と言われていて、後者は「構成がうまい人」と呼ばれているでしょう。

 その差を生んだのは才能ではなく、フィードバックを自分の行動に変換したかだけです。

「自分は成長している」という感覚に騙されない

 経験上、この変換をしない人が多いと感じています。

 長年コードを書いてきたのに、同じ種類の設計ミスを繰り返す。なぜそうなるかというと、経験を積むこと自体が「自分は成長している」という実感を生んでしまうからです。

 手を動かした時間が長いほど、「これだけやったんだからうまくなっているはずだ」と思いたくなる。

 でも実際には、同じやり方を繰り返しているだけだ。

 何を隠そう、私自身がそうでした。

 5年目くらいまで、経験の量で勝負していた。たくさんコードを書いて、たくさんレビューを受けました。

 でも、ある日気づいたのです。まったく同じ種類の指摘を3年間ずっと受けていたことに。

 気づけたのは、メモに書き出してからでした。「自分は詰め込みすぎてしまう」ということがわかると、「分けた方がいいか?」と問えるようになった。

 経験の量だけでは、成長は保証されません。経験から原則を抜き出す習慣があってこそ、成長するのです。

 具体的なフィードバックには、抽象的な学びが埋まっています。

「グラフを増やして」と言われて、「数字の根拠が見えにくかった」が本当の問題だったとしましょう。この1回のやりとりから、「意思決定者は根拠を視覚で確認したがる」というパターンを抜き出せます。

 すると次に別の資料を作るとき、「この資料の読み手は何で判断するか」と最初から考えられるようになる。

 具体的な指摘を、その場の修正だけで消費するのは勿体ない。

 1回のフィードバックから、10回使える原則を抜き出すのが、一番賢い方法です。