アメリカの自己啓発本は、読者に無理無体な勤勉努力を強いる本ではありません。また努力の末の失敗を「自己責任」として押しつけてくるものでもありません。むしろ世界の見方を変えることによって、「頑張らなくてはならない」というような思い込みから自由になるための本。社会から押しつけられる様々なプレッシャーから解放してくれる、そういう本なんです。

「頑張れ」と誤読すると
いつか燃え尽きてしまう

 日本人は、自助努力系(編集部注/行動や習慣、目標設定など、自分の努力によって状況を変えることを重視する)の自己啓発本を読むと、ほぼ自動的にこう解釈します。

・「行動せよ」=「根性で頑張れ」
・「習慣を変えよ」=「努力を積み上げろ」
・「目標を設定せよ」=「無理してでもやれ」

 つまり、自助努力系自己啓発本を単に「努力を美化するもの」として受け取ってしまう。努力をすれば、死ぬ気で頑張れば、素晴らしい未来があなたのもとにやってくる!ということを信じてしまう。しかも自助努力系自己啓発本の書き手は、「努力の苦しさ」よりも「素晴らしい未来」を描くことに重点を置きますから、読者はこの手の本を読むたびに、バラ色の夢を見させられることになる。そうなれば、誰だって頑張らずにはいられません。

 その結果どうなるか――頑張りすぎて、燃え尽きます。見させられた夢の大きさに比して、実際に手に入ったものが小さければ、ガックリくるのも当たり前。中には頑張りすぎて体を壊した人だっていたかもしれない。

 そして、ここが日本人の誤解しやすいポイントなのですが、アメリカの自己啓発本は、そもそも「成功しなければならない」とは一言も言っていません。言っているのは、3つのことだけ。すなわち、

・あなたには成功する自由がある。
・あなたには成功しない自由もある。
・どちらを選択するかはあなた次第。

 アメリカの自己啓発本が主張するのは、「成功するにせよ、成功しないにせよ、それを決めるのはあなた自身だ」ということです。もちろん、成功を目指すこと自体は否定されていません。ただ、成功というものを、あたかも「義務」であるかのように読者に押しつけているわけではないところがとても重要。

 しかし日本では、この点が読み落とされがちです。