どうすればお金をかけずに、売上や利益をもっと増やせるのか? この切実なお悩みに答えるのが、人気の販促コンサルタント・岡本達彦氏の最新刊『客単価アップ大事典 「つい買ってしまう」販促の仕掛け75』(ダイヤモンド社刊)です。同書は、「行動経済学×現場目線」で「つい買いたくなる」販促の仕掛けとは何かを言語化した初の書。本書が提示するのは、「お客様の購買行動そのものを変える設計とは?」です。どうすれば、「利益が残る経営」へと変われるのか? 本連載では、『客単価アップ大事典』に収録しきれなかった事例の中から、現場ですぐに導入でき、成果につながりやすい客単価アップの仕掛けを厳選してご紹介していきます。
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長く停めてもらうほど儲かるのに、
なぜ料金に上限を作るのか?
コインパーキングでは、「20分200円」「30分300円」といった時間料金と一緒に、「駐車後24時間 最大1,200円」「当日24時まで 最大1,000円」などといった表示をよく見かけます。
普通に考えれば、長く停めてもらうほど料金を増やしたほうが、駐車場の売上は増えそうです。
それなのに、なぜ途中で、「これ以上は高くなりません」と上限を作るのでしょうか?
販促の観点から見ると、最大料金は、料金を安くするためだけではなく、「いくらになるか分からない」という不安を減らし、長時間利用を選びやすくする仕組みと考えることができます。
「何時間停めるか分からない」が
利用をためらわせる
例えば、30分300円の駐車場に車を停めるとします。
1時間なら600円、2時間なら1,200円、ここまでは分かります。
しかし、買い物が長引くかもしれない。映画を見た後に食事をするかもしれない。仕事が何時に終わるか分からない。となると、「結局いくらになるのだろう?」という不安が生まれます。
5時間なら3,000円、8時間なら4,800円。となれば、「そんなに高くなるなら別の駐車場を探そう」と考える人もいるでしょう。
つまり問題は、実際の料金が高いことだけではありません。最終金額が分からないこと自体が、利用へのブレーキになるのです。
最大料金があると、
「最悪でもここまで」と分かる
そこで、「24時間最大1,200円」と表示します。すると、お客様は、「何時間停めても、とりあえず1,200円まで」と考えられます。すると判断は、「何時間停めたら、いくらになるだろう?」から、「最大1,200円なら停めておこう」へ変わります。
最大料金は、安さを見せているだけではありません。将来発生する可能性がある料金の上限を見せて、不確実性を消しているのです。
「早く出なければ」が消えると、
長時間利用しやすくなる
時間料金だけの場合、お客様は駐車中も料金を意識します。「もう1時間たった」「あと30分でまた料金が増える」「早く戻らないと」という気持ちになります。
しかし最大料金に達した後は、その時間枠の範囲では、追加料金への不安が小さくなります。
すると、買い物をゆっくりする。映画の後に食事をする。予定より長く仕事をする。といった行動もしやすくなります。
駐車場側から見ると、1台あたりの料金には上限を付けています。しかしその代わりに、「長く停める可能性があるから、この駐車場はやめておこう」という利用拒否を減らしているのです。
上限を決めると、
「価格」ではなく「安心」で選ばれる
例えば近くに、
A駐車場30分200円・最大料金なし
B駐車場30分300円・24時間最大1,500円
があったとします。
1時間しか利用しないなら、Aのほうが安いでしょう。
しかし、「何時に戻るか分からない」という人なら、Bを選ぶ可能性があります。なぜなら、Aには料金がどこまで増えるか分からない不安があり、Bには、「最悪でも1,500円」という安心があるからです。
つまり最大料金によって、駐車場の比較基準を、「30分いくら」だけではなく、「長く停めても安心か」に変えることができます。上限そのものが、選ばれる理由になるのです。
上限を作ることが、
必ずしも売上減とは限らない
もちろん、最大料金を設ければ、1台のお客様から取れる金額には上限ができます。
しかし、「高くなるのが怖いから使わない」人が増えてしまえば、売上はゼロです。例えば、最大料金なしで3,000円取れる可能性があっても、利用者が不安になって別の駐車場へ行けば0円です。
一方、「最大1,500円なら安心」と感じてもらい、利用してもらえれば1,500円の売上になります。
つまり、1人から最大限取るよりも、安心して利用を決めてもらうことを優先したほうが、全体の稼働率や売上につながる場合があります。料金の上限は、売上を捨てる仕組みではなく、利用を逃さないための仕組みでもあるのです。
他のお店でも使える
「料金の上限を先に見せる」設計
この考え方は、駐車場以外でも使えます。
・レンタルサービス
通常は1時間ごとの料金でも、「1日最大○円」を設定する。何時間使うか分からない人でも、最大負担が分かれば借りやすくなる。
・コワーキングスペース
「30分500円」だけでなく、「1日最大3,000円」を設ける。仕事が何時間かかるか読めない人でも、安心して利用を始められる。
・修理・メンテナンス
時間制の作業料金について、「作業料金は最大○万円まで」という上限を事前に示す。「どこまで料金が増えるか分からない」という不安を減らして、依頼しやすくする。
まとめ
この仕組みを販促の観点から整理すると、
・時間制料金で生まれる「最終的にいくらになるか分からない」という不安を消す
・「最大○円」という上限を見せることで、長時間利用への心理的な抵抗を小さくする
・何時間使うか分からないお客様でも、安心して駐車を決められるようにする
・30分単価だけでなく、「長く停めても安心」という新しい選ばれる理由を作る
・1台から取れる金額の上限を設ける代わりに、料金不安によって利用そのものを失うことを防ぐ
という、「いくら取るか」だけではなく、「これ以上は取られない」という安心を売ることで、長時間利用を選びやすくする販促の仕掛けなのです。
販促コンサルタント
現場目線ですぐ使えるマーケティングを伝える第一人者。
広告制作会社時代に100億円を超える販促展開を見て培った成功体験をベースに、むずかしいマーケティングや心理学を使わず、
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初の著書『「A4」1枚アンケートで利益を5倍にする方法』(ダイヤモンド社)は、Amazon上陸15年、「売れたビジネス書」50冊にランクインする。
他の著書に、『お客様に聞くだけで「売れない」が「売れる」に変わるたった1つの質問』
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