「どうすればお金をかけずに、売上や利益をもっと増やせるのか」――。この切実なお悩みに答えるのが、人気の販促コンサルタント・岡本達彦氏の最新刊『客単価アップ大事典 「つい買ってしまう」販促の仕掛け75』(ダイヤモンド社刊)です。同書は、「行動経済学×現場目線」で「つい買いたくなる」販促の仕掛けとは何かを言語化した初の書。本書が提示するのは、「お客様の購買行動そのものを変える設計とは?」です。どうすれば、「利益が残る経営」へと変われるのか? 本連載では、同書に収録されている75の事例の中から、特に現場で導入しやすく、成果につながりやすい客単価アップの仕掛けを厳選して紹介していきます。
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客単価アップの科学とは?
「客数」を増やすのが正解だった時代は、もう終わりました。
今、私たちのビジネスを取り巻く環境は、かつてないほどの激変期にあります。
原材料費の高騰、人件費の上昇、そして人口減少による市場の縮小。「薄利多売」で利益を出そうとすればするほど、現場は疲弊し、経営は苦しくなるばかりです。
多くの経営者や店長は、売上を上げようとするとき、真っ先に「集客」を考えます。「ネット広告をやろう」「もっとチラシを撒こう」「雑誌にも広告を出してみるか」。
その考え自体は決して悪くはありませんが、集客コストは年々上がり続けています。
苦労して新規客を一人連れてきても、利益の少ない商品を一つだけ買って終わりでは、かけたコストすら回収できません。
だからこそ、今、取り組むべきは「客単価アップ」なのです。
今まで1000円しか使わなかったお客様に、いかにして1200円、1500円を使ってもらうか。それも、お店側が「売り込んで」買わせるのではなく、お客様が「喜んで」財布のひもをゆるめる状態で。
これが実現できれば、無理に客数を追わなくても、利益は確実に積み上がります。
そして、そのための方法は、才能や運に頼るものではなく、人間の心理に基づいた「科学」としてすでに存在しているのです。
「売り込み」ではなく
「仕掛け」で単価を上げる
「客単価を上げる」と聞くと、「値上げをしてお客様が離れたらどうしよう」「強引に高い商品をすすめて嫌われたくない」と不安に思うかもしれません。
しかし、本連載で紹介するのは、そういった「売り込み」とは対極にあるアプローチです。
例えば、
・なぜ、カー用品店で「無料点検」を受けると、ついタイヤを買い替えたくなるのか?
・なぜ、テーマパークの出口にはグッズ売り場があり、最後にもう一品買ってしまうのか?
これらはすべて、お客様の意志が弱いから起きる現象ではありません。
人間が無意識に反応してしまう「心理のスイッチ」と、販売側が綿密に設計した「販促の仕掛け」が見事に組み合わさっているからです。
売り場での一歩一歩、目に入るPOP(宣伝文句)、陳列の配置。
その一つひとつに、お客様が「つい買ってしまう」科学的な根拠が存在します。
本連載では、私が何百という現場で見て、聞いて、分析してきた「売れる理由」を行動経済学と現場目線をリンクさせて、誰でも再現できる「仕掛け」として紹介していきます。
若いスタッフが
動ける「理由」を共有する
また、客単価アップを「仕組み」にすることは、人材不足に悩む現場にとっても大きな救いとなります。
特に近年、現場の主力となりつつあるZ世代やミレニアル世代のスタッフは、「とりあえず売ってこい」「気合でなんとかしろ」という精神論では動きません。
彼らは「なぜそれをやるのか?」という合理的な理由や背景を理解して初めて、納得して行動に移してくれます。
「なぜ、この商品をここに置くのか?」
「なぜ、この声かけが必要なのか?」
本連載にある事例は、その「なぜ?」に対する明確な答えです。
「この仕掛けを使えば、お客様は心理的にこう動くから、自然と単価が上がるんだよ」
そう説明できれば、経験の浅いスタッフでも自信を持って接客でき、ベテランと同じような成果を出せるようになります。教育の負担も劇的に軽くなるはずです。
この一冊が、あなたの利益体質を変える
私の最新刊『客単価アップ大事典』は、単なるアイデア集ではありません。
「集客」「商品単価」「買上点数」「リピート」という、売上を構成するすべての要素において、お客様の心理を動かし、単価を押し上げるための「具体的な処方箋」です。
読む前と読んだ後では、あなたのビジネスの景色はガラリと変わるでしょう。街を歩けば、そこかしこに「単価アップの仕掛け」が見えてくるようになります。
そして何より、あなたのお店が「安売り競争」から抜け出し、お客様に感謝されながらしっかりと利益を残せる「強いお店」へと生まれ変わるはずです。
売れないのは、商品が悪いからでも、景気が悪いからでもありません。ただ、お客様の心を動かす「仕掛け」と、その裏にある「理由」を知らなかっただけなのです。
「無理な売り込み」は不要。
心理学で「お客様が自分から選ぶ」仕組みを作る
「客単価を上げたい」と考えたとき、もう一つ多くの人が陥りがちな間違いがあります。
それは、「もっと高い商品をすすめなさい」「セットで買うように説得しなさい」と、スタッフに「売り込み(セールス)」を強要してしまうことです。
しかし、お客様は「売り込まれること」を何よりも嫌います。「ご一緒にいかがですか?」としつこく聞かれれば聞かれるほど、心には「買わないぞ」という防御壁ができてしまいます。
これでは、現場のスタッフも精神的に疲弊し、お客様も離れていくだけです。
本連載が提案するのは、そういった「説得」や「お願い」ではありません。
人間の脳のクセや心理的な特性を利用し、お客様が「自分から」高いほうを選び、「自分から」もう一品をかごに入れてしまう「仕組み(仕掛け)」を作ることです。
次回以降から、「仕組み(仕掛け)」について詳しく紹介していきます。
販促コンサルタント
現場目線ですぐ使えるマーケティングを伝える第一人者。
広告制作会社時代に100億円を超える販促展開を見て培った成功体験をベースに、むずかしいマーケティングや心理学を使わず、
アンケートやマンダラ等を活用して、誰でも売れる広告を作れる手法を体系化する。
業界を問わず即効性が高く、お金をかけずに売上を上げられることから、全国の商工会議所・経済団体などからセミナー依頼が殺到する。
初の著書『「A4」1枚アンケートで利益を5倍にする方法』(ダイヤモンド社)は、Amazon上陸15年、「売れたビジネス書」50冊にランクインする。
他の著書に、『お客様に聞くだけで「売れない」が「売れる」に変わるたった1つの質問』
『あらゆる販促を成功させる「A4」1枚アンケート実践バイブル』
『「A4」1枚チラシで今すぐ売上をあげるすごい方法』『「マンダラ広告作成法」で売れるコピー・広告が1時間でつくれる!』(以上、ダイヤモンド社)等がある。




