なぜか、話しているだけで疲れる人がいます。嫌いなわけでも、性格が悪いわけでもない。それなのに会話がしんどい。その原因のひとつは、「どこまで説明すれば伝わるのか」がわからないことにあります。本記事では、書籍『言語化だけじゃ伝わんない ―― 絵を描くように「考える・伝える」技術』の中からビジネスパーソンにも役立つノウハウとして紹介する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

【マジで無理】「しゃべるだけでストレスになる人」の特徴・ワースト1

仲のいい人とは「アレ」で通じる

 人との距離感は、目には見えません。

 しかし、その距離を測る簡単な方法があります。

一体なにが距離感をつくり出しているのでしょうか?
それは、「コレ」「ソレ」「アレ」です。
「コレ」「ソレ」「アレ」と言って、どれくらい相手に通じるか。
その多さや度合いによって、距離感が変わります。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より

 たとえば、仲のいい友人なら、

「あの店、また行こうよ」
「いいね」

 だけで通じます。
 店名も場所も説明する必要がない。2人のあいだに「あの店」が共有されているからです。

 つまり、距離が近い人ほど、説明を省略できます。

「コレ、どう思う?」が成立する関係

 スマホは、この現象をわかりやすくしてくれます。

電車に乗ると、カップルが並んで1台のスマホを一緒に見ていることがあります。
「コレ見てよ」と言って面白かった動画を共有しあうのも、それを見てもらいさえすれば、面白さが伝わると思うからです。
炎上している投稿を見せて、「コレ、どう思う?」と聞く。
距離感が近い人同士なら、それを見ていきなり、どう思うかを語り出せるのです。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より

 ここで大切なのは、「説明」がほとんど必要ないことです。

「コレ見て」
「ヤバいね」
「でしょ?」

 これだけで会話が進んでいく。

 なぜなら、お互いに知っていることや見てきたものが重なっているからです。
 共通部分が大きいほど、すぐに「本題」に入れます。

「説明」がストレスになる

 ところが、距離が遠い人ではそうはいきません。

でも、距離感が遠い人は、それを見ても「なにそれ?」と聞いてきます。
「昨日ラジオ聴いた?」と尋ねても、「どのラジオ?」と返されてしまいます。
「オードリーのだよ!」
「オードリーって何?ヘップバーン?タン?」
話す側は、どこから話せばいいかわかりません。
聞く側も、相手が何を言っているかわからないので、お互いにストレスです。
話す側は早く感想を伝えたいのに、まずは「それがなんなのか」をゼロから説明しないといけないのです。
この説明の手間が、さらに人と人の距離感を生み出してしまいます。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より

 これが、「しゃべるだけで疲れる」の正体です。

 本当は「昨日のラジオ、面白かったよね」と感想を話したい。
 なのに、その前に、

「オードリーという芸人がいて……」
「ラジオ番組をやっていて……」

 と説明しなければならない。
 話したいところになかなか到達できません。

ワースト1は「共通のアレが少ない人」

 だから、「しゃべるだけでストレスになる人」は、必ずしも嫌いな人とは限りません。

 自分とのあいだに「共通のアレ」が少ない人なのです。

 知らないものが多ければ、そのたびに説明が必要になる。
 説明が増えれば、会話のテンポは落ちる。

 その結果、「この人と話すと疲れる」と感じてしまいます。
 逆に言えば、関係を深める方法もシンプルです。

 同じものを見る。同じ体験をする。同じ話題について話す。
 そうやって「コレ」「ソレ」「アレ」で通じるものを増やしていく。

 人との距離を縮めるとは、「説明しなくてもわかるもの」を2人のあいだに増やしていくことなのです。

ヤギワタル
1981年静岡県生まれ。制作会社にて、雑誌タイアップ広告の制作進行を務めたのち、フリーランスのライターを経験。国際情勢関連の英日翻訳をやりながら、2011年からイラストレーターの活動をスタート。現在は書籍・雑誌・広告など幅広く活動中。特に、ビジネス書や新書での挿絵や図解を担当することが多く、10年以上、活躍している。
これまで、装画・イラストを担当した書籍は200冊以上。『言語化だけじゃ伝わんない ―― 絵を描くように「考える・伝える」技術』(ダイヤモンド社)が初の単著となる。