出発時点の2023年では日本人の中に「佐藤さん」はおよそ180万人存在し、その全人口に占める割合は約1.5%であることが分かった。つまり100人が集まれば、その1人か2人は佐藤さんということになる。この比率はわれわれの感覚としても自然なものであろう。小・中学校でクラスに1人か2人は佐藤さんがいたものである。

 次に、その佐藤姓が全人口に占める割合が本当に増えてきたのかを調べてみた。するとこれまで、1年間に1.0083倍(伸び率約0.83%)という極めて小さくかつゆっくりとした割合だが、日本人に占める佐藤姓が増加していることも分かった。

 そこで、この増加率を繰り返し適用して、まるで預金の複利計算のように、佐藤姓が増殖していくプロセスをコンピューターで試算した。その機械的な計算によれば「2531年までに日本の人口に占める佐藤姓の割合は100%に達する」という結果が得られたのである。

夫婦の子どもの数が2を下回れば
姓を引き継ぐ次世代は縮小再生産

 一般的に「少子化」とは、文字通り子どもの数が少なくなることである。その少子化を目に見える形で表した指標としては「合計特殊出生率」が用いられる。これは1人の女性が生涯で何人の子どもを出産するかの目安となる指標である。親世代の男性と女性の2人が次世代の子どもを2人産めば、世代を重ねても逆ネズミ算にはならず、日本人の総人口は維持される。そこで人口を維持するためには、合計特殊出生率は2を超えることが条件となる。

 もし、1組の夫婦が2人以上の子どもを産めば、佐藤さんもそれ以外の名前も、結婚や出産によってその姓を引き継ぐ次世代がやすやすと絶えてしまうことはない。したがって、いくら2023年で佐藤さんの姓がトップであろうとも、将来の日本人全体に対して占有率100%へ独走することはない。なぜなら人口が「増加する」ような過程では佐藤さんが2倍に増えるとき、他の競争相手の名前もまた同様に2倍に増えるからだ。

(佐藤×2)/(他×2)=(佐藤)/(他)[=最初の比率]

 逆に、夫婦の子どもの数が2を下回れば、すべての家系で姓を引き継ぐ次世代は縮小再生産となる。たとえば、少子化により各姓が1/2ずつとなるとき、単純な数式の計算上では、

(佐藤×〈1/2〉)/(他×〈1/2〉)=(佐藤)/(他)[=最初の比率]

 となるので、一見するとその比率はどこまで行っても不変のように思われる。