佐藤姓100%になる4条件が
現在の日本にはそろっている

 しかしここでは人口が増加する過程のときとは異なることが起きる。それは、人間には「半人前」という言葉はあっても、1.0より小さい単位では生存できない。このため、1/2をかけていくことで数の少ない姓の家系は、最後の1人にまで減少した後に世代が絶えてしまうまでの時間が早まることになる。

『日本人全員が佐藤さんになる日』書影『日本人全員が佐藤さんになる日』(吉田 浩、朝日新聞出版)

 このとき佐藤さんも同じように少子化で減少するものの、もともとが多数であるので最後の1人になるまでには他の姓よりも時間的余裕が大きい。同じ合計特殊出生率でも、その値が2を超えているときの人口増加ケースと2を下回っている場合の人口減少ケースでは、将来の姿はまったく異なることとなる。

 ここから分かることは、いくら佐藤姓が日本人の中に多いと言っても、どのような場合でも必ず100%にまで増殖するとは限らないということである。佐藤姓100%の問題が顕在化するのは、

(1)現時点で佐藤姓が最もメジャーな姓であること、
(2)結婚後、姓を1つに選択しなければならない夫婦同姓の規定があること、
(3)子どもは選択されたその1つの姓しか名のれないこと、
(4)親世代よりも子世代の方がより少子化が進むケースであること、

 の4つの条件がそろっていることである。そして現在の日本は、その4条件がすべてそろっている。