ノーベル賞の登竜門・ラスカー賞受賞で話題! 睡眠学の世界的権威・柳沢正史教授が、最新研究をもとにやさしく解説した著書『世界最高の睡眠学が教える 睡眠の正解』が話題です。巷にあふれる睡眠の常識・思い込みの真偽を解き明かしつつ、「眠れない」「起きられない」「寝ても疲れがとれない」といった悩みの解消法を提唱します。あなたが本来の自分を取り戻し、よりよい明日を迎える睡眠のヒントをお届けします。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局・中村直子)

「忙しいときほど睡眠を削ってはいけない」と睡眠学者・柳沢正史教授、では何を削る?Photo: Adobe Stock

本当に見直すべきなのは、スケジュール

 考えてほしいのは“寝だめはできない”という事実を、どう受け止めるかです。

 来週忙しくなるから、今週末にたっぷり眠っておく。明日は徹夜になりそうだから、今日は長めに眠る。そう考えたくなる気持ちはよくわかります。

 しかし、今日10時間眠ったからといって、明日の睡眠時間を3時間に削っていいとはなりません。だから、本当に見直すべきなのは、睡眠時間ではありません。スケジュールそのものです。

 忙しい時期ほど、人はつい睡眠を削って帳尻を合わせようとします。仕事が終わらない、家事が残っている、やることが多い……。だから寝る時間を後ろにずらす。これは、日本人がとてもやりがちな発想。悪いくせです。

 忙しいときほど、睡眠を削るのではなく、予定を削る。締め切りを動かせないか考える。人に頼めないか考える。やらなくてもいいことを減らす。睡眠時間で帳尻を合わせるのではなく、スケジュールそのものの組み立てを見直す。それが本来の対策です。

それでも睡眠不足を休日に取り戻すのは大事

 寝だめはできない一方で、休日に長く眠るのは無意味だとはいっていません。この点は誤解しないでください。休日にたっぷり眠れるのは、平日にたまった睡眠負債を返しているからです。寝だめではありません。返済です。

 平日に足りなかった分を、休日に少しでも取り戻す。これは大事な行為です。睡眠不足のまま突っ走りつづけるより、休日に長く寝て回復させるほうが、体にとってはまだよい選択です。

 ただそれを「週末に寝ればいいから、平日は短くていい」という言い訳にはしないこと。理想は、休日に長く寝なくてもすむ状態です。目覚まし時計をかけなくても、平日と同じくらいの時間に自然と目が覚める。それは、睡眠がきちんと満たされているかなりよいサインです。