そのそば切りの魅力こそ、いまや世界各国でブームになりつつあるのです。

 和食がユネスコの無形文化遺産に登録され、日本食全体への関心が高まるなかで、そば(そば切り)もまたグローバルな舞台に登場しています。

 海外のそば愛好家は増え、パリやニューヨークには本格的なそば屋が誕生し、ミシュランの星を獲得する店まで現れています。

そばは日本と世界をつなぐ
架け橋になりつつある

 パリの例で言えば、もともとフランスでは、寒冷で痩せた土地でコムギの代わりにソバが育てられてきました。そう考えると、フランスの人にとってそばは食べなれた食材であり、パリのそば屋が人気を集めている背景には、和食ブームやグルテンフリー志向のみならず、「そば切り」という、食べなれたものの新しい食べ方への関心が深いということもあるでしょう。

 その一方で、ガレットもまた、日本に入り、すでに定着した存在になりました。

 そばの広がりは一方向ではなく、文化どうしが出会い直すような動きでもあり、そばは日本と世界をつなぐ架け橋になりつつあるわけです。

 日本のそば文化は、いまや観光資源としての広がり――すなわち「体験する文化」としても発展しています。

 そばをきっかけに日本文化に関心を持ち、日本を訪れて産地をめぐる人も増えています。戸隠、出雲、越前。そばをめぐるツアーは各地で企画され、そば打ち体験を目当てに外国人が訪れる村まであります。

 ソバ畑の花を眺め、地元の人の話に耳を傾け、自らそばを打ってみる。

 そうした一連の体験そのものを求めて、旅に出る人は少なくありません。

 こうした動きのなかで生まれているのが、「そばツーリズム」とも呼べる新しい旅のかたちです。

 そばツーリズムの魅力は、単なる味覚にとどまらず、風景や歴史、そして人との出会いにあります。その時間は、土地の風土に深く触れるひとときでもあるのです。

外国人を産地へ呼び込む
「そばツーリズム」の可能性

「食」を目的にした旅――フードツーリズムは世界的な潮流ですが、そばはその最前線にあるどころか、一歩も二歩も先を行っていると言えるでしょう。