そばを食べる外国人客写真はイメージです Photo:PIXTA

海外で人気の日本食といえば、寿司やラーメンを思い浮かべる人も多いだろう。しかし他にも、世界で存在感を高めている日本食がある。パリやニューヨークで本格的な店が登場したことで、本場の味を求めて訪日する人も増えている。世界の人々を引きつける「SOBA」の魅力とは?※本稿は、信州大学名誉教授の井上直人『ビジネスエリートのための 教養としての蕎麦』(あさ出版)の一部を抜粋・編集したものです。

世界各地で食べられてきた
知られざる「そば文化」

 そばは日本の食文化のなかで育まれてきたのはもちろんのこと、実は古くから世界各地で食べられてきました。

 有名なフランスのブルターニュ地方のガレット(そば粉のクレープ)のほか、イタリアのピッツォッケリ(平たい短冊状のパスタ)、ロシアにはブリヌイ(パンケーキ)やカーシャ(そば粥)、韓国には冷麺、ネパールにはディロ(そば粉の練り物)があります。

 さらにブータンでは、そばは主食のひとつとして、そば粉のパンケーキが日常的に食べられています。

 粒のまま食べる、粉にして練る、煮たり、焼いたり――その違いはあっても、素朴なそばの味わいを生かすという点では共通しています。

 いわば、そばがきやそば粥のような食べ方は、世界に広がる「そば料理の原風景」ともいえるでしょう。

 しかし、そばを「切って」細い麺に仕立て(「そば切り」)、つゆにつけて食べるという食べ方は、世界を見渡しても日本にしかありません。

 そば切りという発明がいかに独創的であったかは、こうした各国のそば料理と比べてみると、いっそうはっきりと見えてきます。