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蕎麦屋の品書きで目にする「十割」と「二八」。そば粉100%の十割と、そば粉に小麦粉を加えた二八では、なんとなく十割のほうが「本格的」と感じる人もいるのではないだろうか。しかし、十割なら必ず二八よりおいしいとは限らないという。蕎麦を味わうなら知っておきたい、十割と二八それぞれの魅力を紹介する。※本稿は、信州大学名誉教授の井上直人『ビジネスエリートのための 教養としての蕎麦』(あさ出版)の一部を抜粋・編集したものです。
そば粉100%の「十割」は
なぜ値段が高いのか
十割そばとは、そば粉100%で打ったそばのことです。つなぎを一切使わず、そば本来の風味をもっとも純粋に味わえる反面、打つのがきわめて難しい。
グルテン(編集部注/小麦やライ麦などの穀物に含まれる「グルテニン」と「グリアジン」という2種類のタンパク質が、水を吸収して絡み合うことで作られる成分)の助けがない状態で、麺としてのかたちを保たせるには、高度な技術と経験が必要だからです。
十割できちんとつながるそばを打てるということは、その職人の腕が確かな証です。だからこそ十割そばは値段も高い。技術的な難易度がそのまま価格に反映されています。
十割そばの魅力は、何といっても香りです。
小麦粉が入らないぶん、そば粉の香りがダイレクトに立ちのぼる。口に含んだ瞬間の風味の濃さは、二八そばとは明らかに異なります。
ただし、食感はやや切れやすく、喉越しの滑らかさでは二八そばに一歩譲ることもあります。
香りの純粋さをとるか、食感の完成度をとるか。







