外食バトルロイヤル:重里政彦・SRSホールディングス社長インタビューPhoto by Yuiki Okusa

原材料や人件費など、店舗運営に関するあらゆるコストが上昇する厳しい事業環境にさらされている外食産業。そんな中で、「和食さと」や「にぎり長次郎」などを運営するSRSホールディングスは3期連続で最高益を更新。2030年3月期までにROE(自己資本利益率)12%という強気の目標を掲げている。連載『外食バトルロイヤル』の本稿では、重里政彦社長に、今後の成長戦略について話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 大日結貴)

3期連続で過去最高益を更新
「これ以上の値上げは厳しい」

――3期連続で過去最高の売り上げと営業利益を更新しました。要因をどう分析していますか。

 コロナ禍明けからお客さまが戻ってくる中、全ての事業が好調に推移しています。要因は大きく三つあります。一つ目は、お客さまが値上げをある程度受け入れてくださったこと。二つ目は、コロナ禍を不採算事業と不採算店舗の整理の機会と捉え、収益構造を改革できたこと。そして三つ目は、すしチェーン「うまい鮨勘」などを運営するアミノや「笹寿し」を製造している芝寿しなどの買収した会社が想定通りの収益を上げていることです。

――今後の価格戦略はどう考えていますか。

 正直なところ、今の日本の外食産業はこれ以上の値上げは厳しいと思います。2025年は米騒動といわれるほど米の値段が上がり、26年に入ってからは原油価格の上昇でガソリン代や電気代の負担が増しています。一時期は賃金上昇へのポジティブな期待やコロナ禍後の反動需要もあり、値上げのネガティブな影響が隠されていた面がありました。しかし、今は物価高騰の影響を、お客さまが肌で感じ始めていると実感しています。

――好調な外食企業が多い一方で、生き残りが厳しい企業もあり、勝ち負けがはっきりし始めている印象があります。明暗の分かれ目はどこにあるとお考えですか。

 論理的な言い方ではないかもしれませんが、分かれ目はやはりその外食企業が消費者を向いているか、向いていないかに尽きると思います。お客さまが必要としている商品やサービスを提供するのが基本です。

 好調な業態はどこも店舗に対して改装などの再投資を行っており、デジタル投資も積極的に進めています。スシローの「デジロー」のような思い切った取り組みが好例です。過去の成功にこだわらず、お客さまが外食産業に何を望んでいるかに対して、お金をかけているか。努力を続けている企業と、そうではない企業の差が出ているのだと思います。

――中期的な財務目標としてROE(自己資本利益率)12%を掲げています。25年3月期は5.7%、今26年3月期は9.9%まで改善していますが、最終的な目標である12%は高いハードルに見えます。この数値を目標に定めた理由を教えてください。

インタビューの後半では、SRSホールディングス(HD)がROE12%という強気の目標を掲げた真意に迫る。また、M&Aで成長してきたSRSHDが現在M&Aをどう捉えているのか、海外M&Aをどのように評価するのか。次ページでは重里社長の冷静な理論を浮き彫りにする。