「エネルギー大国」カナダ、米の圧力で目覚めるかPhoto:Anna Moneymaker/gettyimages

 カナダはエネルギー分野で超大国になりたいと考えている。その意志があれば、実現する道はある。

 カナダは世界4位の産油国で、天然ガスの生産国としても世界5位だ。カナダ統計局によると、石油および天然ガスはカナダの輸出の約5分の1を占め、最大の輸出品目となっている。しかし、天然ガス輸出のほぼすべてと、原油輸出の約90%は米国向けで、世界的な影響力は限られている。

 ドナルド・トランプ米大統領による貿易戦争とイランでの軍事衝突は、エネルギーの輸出先を多様化しようとするカナダの野心に火をつけた。米国がベネズエラから原油輸入を拡大していることも、カナダが米国以外への輸出を目指す一因となっている。ベネズエラ産の原油は重質油で、カナダの原油と競合する。

 中東地域の不安定化を受け、アジアの製油会社は原油調達先の多様化を目指している可能性がある。エネルギー分野の調査を手掛けるウッドマッケンジーのアナリスト、ジョナ・レスニック氏によると、超重質油を精製できる世界の製油能力は、米国のメキシコ湾岸とアジアでほぼ二分されている。

 カナダのエネルギー業界が低迷してきた理由の一部は、市場の動きにある。米国におけるシェールオイル生産の急拡大は原油価格を押し下げ、過去10年間にわたりカナダのオイルサンド増産計画を妨げてきた。しかし政策にも問題があり、米国以外に原油を供給するために必要なインフラ構築が難しくなっていた。

 RBCキャピタル・マーケッツの株式アナリスト、ロバート・クワン氏は、「これまでは規制や許認可を巡る不透明感が強かったため、インフラ整備や資源開発が停滞していた」と話す。現在は、これらの要因はどちらも追い風に転じている。