パンデミックや戦争の後に世界的なインフレが引き起こされる現象は、歴史上何度も繰り返されてきた「いつものパターン」である。日本もまた、長年のデフレから巨大な財政出動を経て、ついに歴史的なインフレ転換期を迎えた。デフレからインフレへの切り替わりは、時代の中で最も資金を増やしやすい最大のチャンスだ。本村哲也氏は著書『アメリカに訴えられた男 エリート外資系銀行員が嵌められた罠。そして奈落からの復活』(ダイヤモンド社)でそう述べている。今こそデフレのルールを捨て、「インフレ時代の投資戦略」へシフトすべき時である。

【孫の代まで格差がつく?】「現金持ち」は今すぐやめろ。デフレ時代の常識を捨てた人から富裕層になれる理由Photo: Adobe Stock

伝染病の後にインフレが起こることはわかっていた

 コロナで世間が騒いでいるとき、本村は過去の伝染病や感染症がどれほど続いたかを調べた。

 ペストが収束した後、世界は爆発的なインフレになっていた。感染症が流行ってデフレになり、需要が縮む。それに対して政府が対策を打つためインフレになる――こんな歴史を世界は繰り返している。まさにいつものパターンが来たのだと思った。

 その後にロシアのウクライナ侵攻が始まった。戦争もインフレを起こす要因になる。新しい兵器をどんどん作って街を壊すわけだから、インフレになるのは当然だ。ミサイル1発1億円もするようなものがバンバン使われるのである。しかもウクライナは賃金が安いためヨーロッパの安価な製品を作る工場がたくさんあった。そこが破壊されウクライナからの供給が止まると、需要が逼迫(ひっぱく)する。欧州でのインフレはさらに加速することになった。

 グローバルマクロの視点、歴史的な視点、長期的な大きな視点で見れば、世界がインフレに動き出すことは明らかだったのだ。

 デフレからインフレになる転換点はめったに巡りあえない。それは最もお金を儲けやすいタイミングだ。この4年、5年で何をするかによって、あなたの孫の代の生活まで変わる。

 1929年に世界恐慌が起こり、世界中の先進国がデフレを打破するためにブロック化経済・市場の奪い合いになり、世界大戦が始まった。そして戦後は世界中で急激なインフレが起こった。

 日本では1989年がバブルの株最高値で、1990年から2020年の30年間はデフレだった。長期にわたるリフレ政策が効き始めていたところにコロナ禍の莫大な財政出動が決定打となって、ついにインフレに転じている。歴史は繰り返しているのだ。

 デフレからインフレへの転換点は、最大のチャンスだ。お金を借りて優良な資産をどんどん買えばいい。逆にインフレからデフレになるときはバランスシートを縮小しなければならないので儲けづらくなる。

「よくうちの親の世代に、『そんなに不動産買って大丈夫なの?』と言われました。でもそれは90年代のバブル崩壊でデフレになったのに、インフレのゲームを続けていた人が大負けしただけのことです。インフレからデフレになったら、資産が毀損した分のお金を返さなきゃいけない。借入が資産価値よりも大きくなってしまい返せなくなって倒れたんです。今は環境が逆なんだから、デフレのゲームを終えて、インフレのゲームをしなきゃいけない。今、現金を抱えて持っていたって、その価値はどんどん下がるだけなんです。期待インフレ率が高く実質金利がマイナスなのだから、これからは借入をしている人が有利になる。それはみんなに伝え続けています。最初のころはポカンとして聞いている人が多かったけれど、ここ2~3年はそれを理解して実践する人が増えたように思います」