産業用ロボットを操作する作業員写真はイメージです Photo:PIXTA

日本は「ロボット普及」は世界2位でも、「デジタル/技術スキル」は67カ国中、最下位だ。設備投資やIT活用、研究開発のデータから、技術を持ちながら事業に生かしきれない日本企業の実態を読み解く。※本稿は、経済学者の伊藤 修『日本経済はなぜ沈下したのか 「正しさ」が招いた35年の停滞』(朝日新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。

設備投資はバブル後に低迷
海外への投資増も一因に

 図2-4は、投資比率(民間企業設備投資/GDP)の1955年以降の推移である(統計の定義や方式が変わっているので厳密には連続しないが、傾向をみるためできるだけ連続を図って描いている)。

図2-4 投資比率(民間企業設備投資/GDP)の推移:1955-2023同書より転載 拡大画像表示

 1960年代から1970年代前半には投資比率は25%水準に達していたが、70年代後半に大幅低下し、バブル期にいったん20%超まで上昇を示したあと、バブル崩壊後1993年ごろ以降は15%前後の水準を長期に続けている。投資が大幅に低下していることが確認される(注1)。

(注1) 参考までに、グラフは掲げていないが戦前から高度成長前までをみてみる(戦前は大川一司ほか『長期経済統計1』による)と、戦前には第1次大戦期に15%に達したほかは10%以下の水準であり、1930年代に急上昇して40年前後に15%となった。したがって現在の15%水準は戦前よりは高い。高度成長期の高投資は歴史的にも国際的にも際立つものだったことになる。

 投資減少の重要な原因に海外直接投資の増加がある。それは近年、国内設備投資の3分の1程度にまで増加しているとみられる。

 設備投資の低下は、生産性上昇の停滞につながるだろう。近年の日本の生産性上昇は他の先進国に劣ってはいないが、1980年代までの群を抜く高さからは大幅に低下した。このことは、同じく群を抜いて高かった投資比率の低下と対応している。