日本地図と株価チャートのイメージ写真はイメージです Photo:PIXTA

円安、株高、雇用増――アベノミクスの「成果」は、どこまで政策によるものだったのか。筆者はその実像をデータから検証し、さらに高市内閣の経済政策にアベノミクスとの共通点を見いだす。※本稿は、経済学者の伊藤 修『日本経済はなぜ沈下したのか 「正しさ」が招いた35年の停滞』(朝日新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。

アベノミクスの「3本の矢」
デフレ脱却と経済復活の結果

 アベノミクスは、(1)異次元の金融緩和、(2)機動的な(=具体的には拡張的な)財政出動、(3)成長戦略、の「3本の矢」を掲げた。

 デフレ脱却が中間目標であり、それができれば最終目標である日本経済復活(成長率上昇)が実現するという見立てであったが、成果はどうだったか。

 まず、デフレ脱却はできなかった。異次元金融緩和は2年で2%物価上昇の実現を公約する賭けだったが、2年たって未達成であり、目標延長をくりかえして10年後、未達成に終わった。

 安倍退陣後、2022年からインフレが発生し、今度はそれが問題になったが、アベノミクスの後遺症によりインフレ対策の本道である金融引き締めを十分進められずに苦心している。

 日本経済の復活、成長率上昇も成らなかった。したがって客観的に、アベノミクスの目標は達成されず、その意味で失敗であった。

 アベノミクスの成果として主張されるものに、「円高からの脱却」「株価上昇」「雇用の増加」の3つがある。これらはどうか。