内訳では、「ロボット普及」2位などは高い一方、「デジタル/技術スキル」「国際経験」「企業の機敏性」「機会と脅威に対する迅速な対応」が67位(最下位)、「ビッグデータの活用と分析」64位、「柔軟性と適応力」63位などがきわめて低い。

 この結果とも整合するが、多く指摘される弱点は、情報関連機器の製造や一部業種のIT専門人材の質量などではなく、幅広い産業・企業におけるその活用の部面にある。

 たとえばユーザー企業でベンダーなどへの外注依存が強く、内部人材による部分が不足していること、R&D(研究開発)の10%程度しかIT関係が占めておらず(OECD平均は38%)、活用に積極的でないこと、それらの傾向は非製造業(特にサービス業等)でとりわけ強く、それが生産性上昇の低さの原因にもなっていること(注6)などが指摘される。

研究開発費は平均を超える
増加率から見える日本の弱さ

 生産性の低水準と停滞の背景にある研究開発についてみよう。近年の急速な技術進歩のもとで、技術開発は競争力を左右する特段の重要性をもち、多くの国で力を入れている。

 2023年の研究開発費総額の対GDP比(OECD集計)は、イスラエルの6.3%を筆頭に、韓国5.0%、台湾4.0%、スウェーデン3.6%、米3.4%、日本3.4%、独3.1%、英2.8%、中国2.6%、OECD平均2.7%となっており、日本は平均を上回っている。

 しかし、その2007年から21年の増加倍率をみると、中国7.5倍(大学向けの資源配分が多い)、韓国2.5倍、米1.8倍、独1.8倍、EU1.7倍に対し、日本は1.0倍と横ばいで、伸びが目立って低い(注7)。

 また1995年から2022年における企業部門の研究開発費の対GDP比の上昇幅でも、韓2.54%ポイント、中1.73ポイント、米1.13ポイント、EU0.43ポイントに対して、日本は0.90ポイントである。

 バブル崩壊後、研究所の閉鎖や縮小、研究者・技術者の海外流出が起きたことは各業界について指摘された。総合して日本は、水準は低くないが伸びが低いといえる。

 日本の水準自体は低くないもののパフォーマンスが高いとはいえない点に関しては、自社内で完結させようとする“自前主義”が強く、他社との重複も大きいこと、したがって自社の強みへの集中が不十分であるという問題点が指摘される。

 外部との連携(オープンイノベーション)の強化が求められるということでもある(注8)。

(注6) 軽部謙介(2022)『アフター・アベノミクス』岩波新書。
(注7) 軽部謙介(2022)『アフター・アベノミクス』岩波新書。
(注8) 図の出典の月次データによる。この時期に転換した特定の原因は明確でないが、結果としてそうなっている。