勉強を始めても、いつも途中で挫折してしまう。そんな人は、「意志が弱い」「自分には根気がない」と考えてしまいがちです。しかし、続かない原因は、努力ではなく「目標の立て方」にあるかもしれません。東大卒、コロンビア大学MBAを経て、日本マイクロソフト執行役員などを歴任し、57歳で司法試験に合格した岩下充志氏は、長期間の勉強を続けるには「少し頑張れば届く目標」が重要だといいます。『夢をかなえる 勉強の地図』から、勉強が続かない人が見直したい「目標の立て方」を紹介します。

「勉強が続かない人」がやってしまう、目標の立て方・ワースト1Photo: Adobe Stock

「マイクロソフト」での厳しい経験

以前、日本マイクロソフトの執行役員に就任したときのことです。
当時、私のチームには「人員2倍増を背景に、売上を6倍にしろ」という目標が課されていました。
正確には私の前任者が設定していた目標で、私はこの「数値目標」をそのまま引き継いだ形でした。

その目標達成に向けてのロジックは本社から示されていましたが、現実的には極めて厳しい数字でした。
人員が6倍に増強されたならまだしも、実際に増えたのは2倍。それで売上を6倍に伸ばせというのですから、従来のやり方を続けていては到底達成できません。

目標が未達に終われば、その責任は現場を預かる私が負うことになります。シアトルのマイクロソフト本社に行くたびに、レビュー(世界各国の業績を報告・評価する会議)でグローバル責任者から達成率を厳しく追及され、私にとって非常に厳しい経験でした。

「まずはここまで」を決める

もっとも、「売上を6倍にする」という目標自体が悪いのではありません。目標は高いほうがいい、という考え方もあるでしょう。

問題なのは、その道筋です。どうすればそのゴールにたどり着くのか、道筋が見えないから、人は「そんなの無理だ」と諦めてしまうのです。

だからこそ、中長期にわたるプロジェクトの計画を立てていく上では、ゴールまでの確かな道筋を示す「マイルストーン」の設置が大切になります。

本来のマイルストーンとは、文字どおり「1マイルごとに置かれた道しるべ」のこと。
転じてビジネスの世界では「プロジェクトの中間目標」を指すようになっています。

ただし、マイルストーンの置き方には注意が必要です。
中間目標だからといって、単に“中間”地点に置けばいいわけではありません。

「少し頑張れば届く」がポイント

たとえば、「フルマラソンを走れるようになりたい!」と目標を立てたとします。でも現状は、ジョギングの習慣もなく、1キロ走っただけで息が上がる状態です。当然、「42キロを完走する」のは大きすぎる目標ですから、途中にマイルストーンを置くべきです。

そこで「まずは20キロ走れるようになる」とマイルストーンを設定するとどうでしょうか。
たしかに、20キロは“中間”ではありますが、正直に言って、壁の高さはまったく軽減されていません。

さらに半分の10キロをマイルストーンとしても、1キロ走るのに精一杯な今の自分にとっては相当高い壁に違いありません。
それではきっと、どこかで「なかなか目標を達成できない」「どうせ自分には無理なんだ」と挫折してしまうでしょう。

ですから、今の自分にとって1キロが精一杯なら、たとえば「まずは3キロを楽に走れるようになる」とするのが正しいマイルストーンの置き方です。
そこから「次は5キロ」「次は10キロ」と少しずつ段階を踏んでいくように、いくつものマイルストーンを設定するべきでしょう。

このように、マイルストーン設計では、少しの努力で達成できそうなところからスモールステップで設定していくことが重要になります。