仕事では、丁寧にやろうとするほど、会議や資料作成などに時間をかけてしまいがちだが、その手間は本当に成果につながっているのだろうか。『仕事・人間関係で損する人、得する人』の著者・伊庭正康氏に、仕事の質を落とさず、無駄を減らすために普段どんなことを意識しているのかを聞いた。(構成/照宮遼子、ダイヤモンド社書籍編集局)

仕事が速い人が「やらないこと」・ベスト1Photo: Adobe Stock

ベスト1:成果につながらないことに時間をかけない

――著書では「まじめにがんばるより横着する」とあります。伊庭さん自身は、仕事のどこに時間や手間をかけるか、どんな基準で決めていますか。

伊庭正康(以下、伊庭):ベースにあるのは、「ROI(Return On Investment)」、つまり「投資対効果」ですね。仕事なら、かける時間や手間に対して、どんな成果が得られるかを見るということです。そのバランスを見ながら、時間のかけ方を決めています。

――日々の仕事では、どのようにそれを当てはめているのでしょうか。

伊庭:たとえば、60分かけても30分でやっても成果が変わらないなら、短くできないかを考えます。時間を2倍かけたからといって、成果まで2倍になるとは限りません。資料も同じです。ページ数を増やすより、相手に伝わる内容を見極めることのほうが大切です。

――逆に、時間や手間をかけることで成果が変わる仕事は、どうしていますか。

伊庭:そこには惜しまず時間を使います。何でも短くするのではなく、時間や手間をかけることで成果が大きくなるなら、しっかり取り組みます。

「打ち合わせをすること」自体を目的化しない

――打ち合わせを短くしたり、回数を減らしたりするために、どんな工夫をしていますか。

伊庭:事前に資料がそろっていれば、確認したい点に絞って話せます。確認が早く終われば、その分、今後どう進めるかという話に時間を使うこともできます。内容によっては、次の打ち合わせを設けず、メールでやり取りすることもあります。

――打ち合わせをするかどうかは、何を基準に決めていますか。

伊庭:話したほうが早い内容なら時間を取りますが、メールでも同じように進められるなら、そちらを選びます。大事なのは、打ち合わせをすること自体ではなく、きちんと仕事が進むことですね。

「一度つくったもの」をうまく再利用する

――ほかには、仕事を効率よく進めるためにどんなことを意識していますか。

伊庭:一度つくったものを、その場限りで終わらせないことですね。別の仕事にも使える形で残しておけば、次に同じような作業が出てきたときに、ゼロから考える必要がありません。いわゆる「ワンソース・マルチユース」です。

――その考え方は、日々の作業ではどのように取り入れていますか。

伊庭:たとえば議事録や資料も、次に使うことを考えて形を整えておけば、必要なところを変えるだけで済みます。毎回一からつくるのではなく、使えるものはそのまま生かして、変える必要があるところに手をかけます。成果に影響しないところまで毎回手を入れる必要はありません。

「横着」は「大切な時間戦略」

――「横着」という言葉だけを聞くと、雑に仕事をするイメージもあります。

伊庭:そこは違います。私がいう「横着」は、仕事を雑にすることではありません。どこに時間をかけるかを見極める、ということです。

――自分の仕事に取り入れるなら、まずどこから見直すといいでしょうか。

伊庭:自分では当たり前だと思っているやり方でも、見直してみると省けることはあります。たとえば、会議の時間なども、なんとなく60分に設定しているのであれば、40分に減らせないかなど考えてみてもいいでしょう。

『仕事・人間関係で損する人、得する人』では、仕事や人間関係で「これが当たり前」と思い込んでいることを、一度立ち止まって見直すための具体的な方法を紹介しています。

まずは、普段何気なくやっていることに「本当に必要?」と問いかけてみる。そこから、仕事の無駄は少しずつ減っていくはずです。