これまでの情報漏えい事件と何が違うのか

 個人情報の漏えいは、残念ながら珍しいニュースではなくなった。だが今回の事件には、これまでの多くの事例とは異なる怖さ、深刻さがある。

 一つ目は、「変えられない情報」が漏れたこと。パスワードやメールアドレスなら変更すれば済む。しかし氏名や住所はそう簡単には変えられない。運転免許証も、パスワードのように「新しいものに替えれば元の情報が無効になる」わけではない。

 二つ目は、本人確認書類の「画像そのもの」が漏れたことだ。スマホの契約や銀行口座の開設、ローンの申し込みなど、ネット上の手続きの多くは「免許証の画像」で本人確認を行ってきた。現在はICチップや公的個人認証を使う方式への移行が進んでいるものの、本人確認書類の画像が流出するリスクがなくなったわけではない。

 三つ目は、退会者も対象になっていることである。同社の説明によれば、氏名・住所・生年月日は税法などに基づき、運転免許情報と画像は退会後も7年間保管していたという。「何年か前にちょっと使って、もう退会した」という人も、決して他人事ではない。

 情報漏えいと聞いて、まず思い浮かべるのはメールアドレスやパスワード、クレジットカード番号などだろう。今回の事件は、これらの「お金を盗むための情報が漏れた」というより、「あなたであることを証明する情報が漏れた」つまり、「あなたになりすますための材料が誰かの手にわたった」事件だと考えると、その怖さが分かるはずだ。

免許証画像が悪意のある第三者の手に渡る恐ろしさとは? Photo:PIXTA免許証画像が悪意のある第三者の手に渡る恐ろしさとは? Photo:PIXTA

免許証画像はどのように悪用されるのか

 では、漏れた情報はどのように悪用される恐れがあるのか。考えられるのは、主に次のようなケースだろう。