世界中で愛される「ポケモン」。ゲームやアニメ、カードなど、さまざまな分野で人気を集めていますが、そのビジネスがどれくらいの売上や利益を生み出しているのか、ご存じでしょうか。株式会社ポケモンは非上場企業ですが、一定の決算情報を調べる方法があります。今回は書籍『サンキー図で「お金の流れ」が1秒でわかる 見るだけ決算書』の手法を使って、ポケモン社の決算を読み解き、その経営実態に迫ります。
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「ポケモン」の決算、どうやって確認する?
上場企業の決算は、決算短信や有価証券報告書を見れば確認できます。では、非上場企業の決算は、外部からどこまでわかるのでしょうか?
今回取り上げるのは、世界的に大人気のIP「ポケモン」を扱う株式会社ポケモン(以下、ポケモン社)です。
まず、非上場企業の決算を確認できる「官報」について解説します。その後、官報に掲載された数字をPL・BSサンキー図に置き換え、上場企業の中央値と比較しながら、ポケモン社の経営状況を見ていきましょう。
非上場企業の決算は官報で確認できる
非上場の株式会社も、原則として、会社法により毎年BSの公告が求められます。公告方法としてよく使われるのが官報、つまり国が発行する公的な機関紙であり、毎日のように発刊されています。
さらに、資本金が5億円以上、または負債総額が200億円以上の「大会社」に該当すると、BSに加えてPLも公告しなければなりません。ポケモン社は資本金こそ5億円に届きませんが、負債総額が1,164億円あるため大会社に該当します。実際に、誰でも次のような資料を閲覧することができます。
画像出典:内閣府 過去の官報 令和8年6月1日号外P.81
ただ、官報に掲載されているのはこのような数字が並んだ表だけです。
それぞれの金額は確認できても、売上高からどれだけ利益が残ったのか、資金をどこから調達しており、どんな資産を持っているのか、といった数字同士の関係性までは直感的につかみにくいのではないでしょうか。そこで、ポケモン社の決算公告をサンキー図にして分析してみましょう。
売上高は約5,300億円、営業利益率27.1%
まずは、PLを見てみましょう。
株式会社ポケモン 2026年2月期PL 注1, 2
ポケモン社の売上高は約5,300億円、営業利益率は27.1%です。利益の帯が太いことから、しっかり利益を稼いでいることがわかりますね。
なお、営業利益率27.1%は、金融業を除く上場企業全体の中央値6.1%の4倍超であり、ポケモン社の収益性は上場企業と比べてもかなり高い水準です。
調達の78.1%は自己資本、負債への依存度は低い
次に、BSを見てみましょう。
株式会社ポケモン 2026年2月期BS 注3
まずは、BSサンキー図の右側から、資金をどのように調達しているのかを見ていきましょう。目を引くのは純資産の緑の帯の太さです。調達の78.1%を自己資本でまかない、負債は21.9%にとどまっています。中長期的な財務安全性を示す自己資本比率も78.1%と、上場企業の中央値である55.9%を大きく超える水準です。
負債への依存度が低いため、借入に伴う利息負担も比較的少ないと考えられます。また、自己資本の厚さは金融機関の融資判断でもプラス材料になり得るため、今後まとまった資金が必要になった場合にも、銀行から借り入れられる余地は十分にあると言えるでしょう。
続いて、BSサンキー図の左側から資金の運用状況を見てみましょう。
株式会社ポケモン 2026年2月期BS(再掲)
資産のほとんどを流動資産が占めていることがわかりますね。現金や預金を含む、換金性の高い資産を厚く保有していると考えられます(決算公告では内訳が開示されていないため、実際の現預金額まではわかりません)。
この背景には、ポケモン社が工場などの大規模な設備を抱える製造業とは異なり、IPのライセンス管理や商品の企画・販売を中心に事業を展開していることがあると考えられます。こうした事業構造が、流動資産に重心を置いた資産構成として表れているのでしょう。
また、ポケモン社はゲームだけでなく、カード、映像、ライセンスなど、ポケモンというIPをさまざまな事業へ展開しています。こうしたビジネスモデルは、大規模な固定資産への依存を抑えながら、複数の方法で利益を生み出せる点が特徴です。
BSとPLを合わせてみると、固定資産が総資産の8.1%にとどまる一方、年間売上高は約5,300億円、営業利益率は27.1%に達しています。ポケモン社の強みは資産の大きさではなく、IPを収益へ変える力にあると考えられます。
まとめ
今回は非上場企業であるポケモン社の決算を、官報に掲載された決算公告から読み解きました。
・財務安全性:自己資本比率78.1%、上場企業の中央値を22ポイント上回る
・資産構成:総資産の91.9%を流動資産が占める
非上場企業が公開している少ない情報でも、サンキー図で全体像を捉え、上場企業の中央値と比べることで、思ったよりも分析できると実感いただけたのではないでしょうか。
ぜひあなたの周りの非上場企業の決算情報も、官報で探してサンキー図にしてみてください。サンキー図の作り方は書籍でわかりやすく解説しています。
注2:営業外損益と特別損益は、収益・費用の内訳が開示されていません。いずれも差引額がプラスのため、本図では「営業外収益」「特別利益」として表示しています。
注3:BS サンキー図の簡易版では、あえて「その他純資産」を省略しているため、純資産の数値と株主資本の数値が合致しないことがあります。






