「部下の気持ちがわからない」「振り回されて疲れる」…そんな悩みを抱えるマネジャー必見。状況を打破する鍵は、単なる同情ではない、ある特別な「共感力」にありました。書籍『伝え方ひとつで部下が動き出す 上司の「コミュ力」大全』をベースに、相手のサインに気づくための視点の違いと、上司自身が面談前に行うべき意外な準備について解説。あなたのマネジメントを劇的に変えるヒントをお届けします。

心が離れる上司が無意識にやっている最悪のクセ・ワースト1Photo: Adobe Stock

「部下の気持ちがわからない」と悩む上司が知るべきこと

「部下とどう接していいかわからない」「相手の感情に流されて自分まで疲れてしまう」。そんなふうにコミュニケーションに悩むマネジャーは少なくありません。

職場のマネジメントにおいて必要なのは、ただ相手に同情することではなく「認知的共感」というスキルです。

感情に巻き込まれず、客観的に理解する

ビジネスシーンにおける共感とはどういうものでしょうか。次のように語られています。

相手の視点に立って感情の状態を理解する「認知的共感」において重要なのは、相手の感情に巻き込まれることなく、できるだけ客観的に相手の状況を理解する姿勢です。
――『伝え方ひとつで部下が動き出す 上司の「コミュ力」大全』より

相手の不満や不安に引きずられるのではなく、「なぜこの人はこう感じているのか」を冷静に分析するのが認知的共感です。この客観的な姿勢があってこそ、上司は初めて的確なサポートやフィードバックが可能になります。

情報の質を変える「観る」スキル

では、具体的にどのように部下と接すればいいのでしょうか? ポイントは「見る」と「観る」の違いにあります。

「見る」は、意識せずに視界に入ってくる情報を捉える受動的な行為です。一方で「観る」は、相手を知ろうとする意図を持って、注意深く能動的に観察することを意味します。認知的共感に必要なのは、まさに後者の「観る」であり、その違いによって得られる情報の量や質が大きく変わってきます。
――『伝え方ひとつで部下が動き出す 上司の「コミュ力」大全』より

日々忙しく働く私たちは、つい部下をただ「見て」しまいがちです。これこそ心が離れる上司が無意識にやっている最悪のクセともいえます。

「今日は少し声のトーンが低いな」「視線が泳いでいるな」と、意図を持って「観る」ことで、言葉以外の重要なサインに気づくことができます。

「観る」「聴く」ための準備ができているか

そして、この能動的なアクションを起こすためには、上司自身の状態も問われます。

そのために欠かせないのは、「見る」ではなく「観る」、「聞く」ではなく「聴く」といった意図的な「観察」と「傾聴」の姿勢です。観察の前には心身のウォーミングアップを済ませ、自分自身を整えておくことも大切です。
――『伝え方ひとつで部下が動き出す 上司の「コミュ力」大全』より

自分がプレッシャーや疲労で余裕がない状態では、部下を深く観察し、耳を傾けることはできません。面談の前に深呼吸をするなど、まずは自分自身を整えること。それが、部下との信頼関係を築く「コミュ力」の第一歩なのです。