良かれと思った気遣いが、実は部下を追い詰めているかもしれません。悩む部下に声をかける際、優しい上司ほど無意識に使ってしまう「あるNGワード」が存在します。書籍『伝え方ひとつで部下が動き出す 上司の「コミュ力」大全』をベースに、善意がプレッシャーに変わる心理的メカニズムと、相手が安心して本音を話せるようになる声かけの秘訣を解説。あなたのコミュニケーションをアップデートするヒントをお届けします。

良かれと思ったひと言が逆効果? ​悩む部下から本音を遠ざける「NGな声かけ」・ワースト1Photo: Adobe Stock

良かれと思った一言が逆効果?
悩む部下から本音を遠ざける「NGな声かけ」

職場で元気がなかったり、業務に行き詰まっていたりする部下を見かけたとき、上司としてどう対応すべきでしょうか?

気遣いや優しさから発したはずのひと言が、実は相手を深く傷つけ、心を閉ざさせてしまう原因になっているかもしれません。

優しい上司ほど陥りやすい罠

部下の異変にいち早く気づけるのは、普段からメンバーをよく観察している証拠です。しかし、そんな時こそアプローチの仕方に注意が必要です。

職場で困った様子の部下や同僚を見かけたとき、あなたならどう声をかけますか? つい、「何か困っていることがあるんじゃない? 力になれることがあれば遠慮なくいってね」などと、真っすぐに言葉をかけたくなるかもしれません。
――『伝え方ひとつで部下が動き出す 上司の「コミュ力」大全』より

この声かけには、相手をサポートしたいという純粋な善意が込められています。「いつでも相談に乗るよ」という姿勢を示すことは、マネジメントにおいて正解のように思えるでしょう。

しかし、受け手の心理状態によっては、この言葉がプレッシャーに変わってしまうのです。これこそ、悩む部下から本音を遠ざける「NGな声かけ」ともいえます。

何気なく使っている「あの言葉」の破壊力

なぜ、善意からの声かけがすれ違ってしまうのでしょうか? その理由は、私たちが日常的に使っている特定の単語に潜んでいます。

もちろん、その声かけには部下や同僚を思う気持ちが込められているはず。ただし、当の本人が精神的に追い詰められているときには、無意識に使う「何か」という言葉を「詰問」や「叱責」と感じてしまうこともあるので要注意です。
――『伝え方ひとつで部下が動き出す 上司の「コミュ力」大全』より

仕事に追われ、精神的な余裕を失っているとき、人は周囲の言葉に対して非常に敏感になります。

「『何か』って何だろう? 自分のミスを責められているのだろうか」「今の状況をうまく説明できない」と、漠然とした問いかけに対して自己防衛に入ってしまうのです。

相手の心を開くための第一歩

この心理的なすれ違いを放置すると、マネジメントにおいて致命的な結果を招きます。

「何かあったの?」という問いかけは、防衛本能を刺激してしまい、相手が心を閉ざしてしまうリスクがあります。そのため、かえって本音を引き出せなくなり、問題解決も遠のいてしまいがちです。
――『伝え方ひとつで部下が動き出す 上司の「コミュ力」大全』より

「何か」という曖昧な質問は、相手に状況を論理的に説明する責任を無意識に押し付けてしまいます。本当に困っている部下を救うためには、「何かあった?」と問いただすのではなく、「最近、残業が続いているようだけど体調は大丈夫?」など、自分が見た具体的な事実ベースで声をかけるのが効果的です。

相手に「答えさせる」のではなく、相手の状況に「寄り添う」。ほんの少し言葉の解像度を上げるだけで、部下が安心して本音を打ち明けられる環境は確実に整っていくはずです。