「友だちとうまくいかない」「学校に苦手な子がいる」。思春期の子どもからそんな悩みを打ち明けられたとき、親としてどう接すればよいのか、迷うこともあるだろう。
「みんなと仲よくしなさい」と励ますべきか、それとも本人にまかせるべきか。じつは、人間関係の悩みを抱える子どもに対して、親が知っておきたい大切な考え方があるという。では、子どもの心を軽くするために、親ができることとは何なのか。『医師が教える 子どもの習慣50の基本』から一部抜粋してお届けする。(ダイヤモンド社書籍編集局)
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今も昔も、たくさんの子が人間関係で悩んでいる
当クリニックを受診する子どもやご家族から、学校での友だちとのトラブルについて相談を受けることがとても多いです。
「うちの子が、ほかの同級生にちょっかいを出した。相手は嫌がっていた」
「苦手な子がやたら寄ってくる。学校に行きたくない」
など、さまざまな悩みが寄せられます。
相性には、医学的な根拠がある
相性が合う・合わない、ソリが合う・合わないなどといいますが、実はこれには生物学的・医学的な根拠があります。相性が合う・合わないを、英語では日常的に、good chemistry, bad chemistry(よい化学反応、悪い化学反応)と表現します。
ヒトとヒトが合うかどうかは、一緒にいるときに脳内で分泌される神経伝達物質である脳内ホルモンで決まります。
なんとなくこの人と合わないなぁと思うときは、お互いの脳内でドパミンがあまり出ません。そのため「なんかしっくり来ない」とか「なんか違う」「この人といて退屈だ」などと感じます。
加えて、脳の奥の扁桃体(脳にある恐怖心の中枢)が反応して、ストレスホルモンが分泌されるので、緊張し、不穏な、あるいは敵対的な気持ちが起きてしまうのです(6~8)。
無意識にフェロモンを感じ取っている
また脳神経とは別に、私たちの免疫系も、「種の生存」の観点から互換性・適合性を感じ取っています。
無意識のうちに免疫系遺伝子が体臭を介してお互いに選び合っていることを示す研究もあり(9)、これはフェロモンが出ていて、それを感じ取っている状態です。
私たちは無意識のうちに自分と異なる遺伝子をもつ人に惹きつけられる傾向があります。
なぜなら、同じ免疫系だと病気が流行したり環境変化が起きたりしたときに一緒に弱体化してしまい、人類として滅びやすいからです。
さらに、ヒトとヒトの相性は、過去の経験に基づく脳の反応によっても処理されます。
各自の認知バイアス(経験や先入観などによって認知や判断に起こる偏り。考え方のクセ)によって、初めて会う人を無意識のうちに選り分けています(10)。
また、相性がよい人と話しているときは、相手のしぐさのミラーリング(まね、同調)を自然と行います。
そのようなときにはお互いの脳の波長が一致していることもわかっています。
苦手な子に無理に合わせなくてよい
説明はできないけれどなんとなく合わないと感じる子には、無理に話しかけなくてよいですし、そういう相手が寄ってきても無理に合わせず、距離をおくほうが疲れません。
次のような考え方を参考にするよう、提案してみましょう。
・いやなことを言ってくる人っているよね。でもそういう人だから放っておこう
・言いたくないことをしつこく聞いてくる子には「それは言いたくないんだ」と言って離れよう
・グループLINEに入れられてしまって、キツかったら抜けよう
人間関係スキルを子ども時代から鍛えよう
なお、「合わない……」の逆の「合う!」とき、生理学的・医学的には、ドパミンやオキシトシン、バソプレシンなどの神経伝達物質やホルモンが、双方に分泌されていることもわかっています。
お子さんが人間関係で悩んでいたら、「相性が合わない、ソリが合わないのは、医学的にも根拠がある」と話してみてください。
きっと「そうか。じゃあ無理しても仕方ないね!」と心が軽くなるかもしれませんよ。
人間関係は、一生、ついてまわってきます。
子どものうちから自分がラクになれる人間関係の築き方を身につけておけるとよいですね。
7 Cognitive Biases and Brain Biology Help Explain Why Facts Don’t Change Minds - UConn Today. [cited 2026 Jul 31]. Available from: https://today.uconn.edu/2022/08/cognitive-biases-and-brain-biology-help-explain-why-facts-dont-change-minds-2/
8 The Science Of Love: What’s Happening in Your Body. [cited 2026 Jul 31]. Available from: https://www.nm.org/healthbeat/healthy-tips/emotional-health/the-science-of-love
9 Schirmer A, Franz M, Krismann L, et al. Attraction in every sense: How looks, voice, movement and scent draw us to future lovers and friends. Br J Psychol. 2025;116(3):684-701. doi: 10.1111/bjop.12787.
10 Social Cognition and Peer Relationships. [cited 2026 Jul 31]. Available from: https://pressbooks.cuny.edu/infantandchilddevelopmentcitytech/chapter/social-cognition-and-peer-relationships/
赤坂ファミリークリニック院長/小児科医/MD,MPH/BCIA認定ニューロフィードバック認定医
NPO法人Healthy Children, Healthy Lives代表理事。東京外国語大学卒、帝京大学医学部卒、東京大学大学院医学系研究科修了。医師になる前から同時通訳者として天皇陛下や歴代首相、米国大統領の通訳を務め、現在も医学系会議を中心に活動している。通訳の仕事をしながら2児をもうけたあと、40歳で医学部を受験し、医師に。卓越した英語力を武器に、海外の学術論文から日々最新の情報をアップデートしている。メディア出演も多く、わかりやすい説明と親しみやすい人柄で子どもはもちろん、その親からの信頼も厚い。著書に『医師が教える 子どもの食事 50の基本』(ダイヤモンド社)などがある。






