フィラデルフィアの造船所の歴史は、独立戦争時代にまでさかのぼる Photo:Hannah Beier for WSJ
ドナルド・トランプ米大統領は、製造業を米国内に戻すために数十億ドル規模の投資を呼び込む自らの能力を誇示している。
しかし、こうしたプロジェクトを実現させるには、米国の重工業を衰退させた多くの要因を克服する必要がある。労働者の確保は難しく、米国の賃金は高い。価格競争力は低く、顧客は離れ、用地も手狭だ。
フィラデルフィアでは、50億ドル(約7900億円)規模の造船所プロジェクトでより広い用地を必要としているほか、所有者である韓国企業ハンファ・シッピング以外の顧客獲得に苦戦している。アイオワ州では、米鉄鋼業での実績のない企業が、国内最大規模の製鉄所の建設を進めている。
この二つのプロジェクトは、鉄鉱石採掘、製鉄、東海岸の造船という旧来型産業を再生させるトランプ氏の取り組みの一環だ。これらは同氏にとって理想的な条件を全て満たしている。大規模で大胆、投資額も大きく、米国の製造業と国家安全保障の指標と見なす産業を拡大するものとなっている。
政権当局者らはこれらのプロジェクトについて、トランプ氏の関税戦略や外国投資誘致に向けた外交戦略が奏功している証左とみなしている。同氏は先月、大統領執務室でアイオワ州の製鉄所プロジェクトを発表し、所有者であるメサビ・メタリックスが米国に150億ドルを投じて製鉄所を建設する計画を称賛した。国内にある同種の製鉄所の多くをしのぐ規模だという。
一部の民主党員などはアイオワ州のプロジェクトについて、来月の中間選挙で共和党を後押しするために急いでまとめられたと批判している。メサビ・メタリックスはそれを否定している。







