たとえば共通語の「来ない」は、大阪では「けーへん」、京都では「きーへん」ですが、それらが混ざった結果、どこの方言でもない「こーへん」という言葉が生まれています。
また、井上史雄氏は、地域で新たに生まれた表現を「新方言」と定義しました。新方言の特徴として「共通語と異なる表現であること」「若い人の間で使われること」「改まった場では用いられないこと」があげられます。
たとえば「うざったい」は、もともと「服が濡れてうざったい」「虫がうようよいてうざったい」など直接的な不快感を表す多摩地区の言葉でしたが、そこから派生した「うざい」は「あいつうざい」など、人や物事に対する不快感を表す若者言葉として広まっています。
ある調査では、方言に否定的な時代に育った高齢者は方言よりも共通語を話そうとする一方、若者には「方言が好きで積極的に使う」傾向も見られるといいます。とくにアニメや映画、SNS等で使われることが多い関西弁や博多弁にこの傾向が顕著です。
さらに近年は、出身地以外の方言を使う「方言のアクセサリー化」も見られるようになりました。たとえば「なんでやねん」「知らんけど」のように、関西人でなくても関西弁を使ったり、「やるぜよ」のように土佐弁で強い意志を示したりする方法です。このように、方言の持つ特定のイメージを自由に着脱して楽しむ現象は「方言のコスプレ化」と呼ばれます。方言ネイティブからみれば「ニセ方言」なのでしょうが、これも日本語ならではの言葉遊びのひとつと言えるでしょう。
若者はおしゃれを楽しむように方言を使い、会話に地方色というトッピングやアレンジを加えています。日本の豊かなおしゃべり文化の中で、方言はこれからも新たな表現を生み出してくれることでしょう。
「ごそごそ」「きゅんきゅん」は
地域によって意味が変わる
●ここで問題です。次の方言の意味として、正しいものを選びましょう。
Q9 きときと(富山県)
1:新鮮な状態
2:腐っている状態
3:ぎっちり並んだ状態
Q10 あふらあふら(岩手県、宮城県)
1:慌てている様子
2:浮かれている様子
3:元気のない様子
Q11 むたむた(石川県、福井県)
1:仲がいい様子
2:散らかっている様子
3:味が染みている様子
Q12 けそけそ(九州地方)
1:落ち着きがない様子
2:悲しんでいる様子
3:恥ずかしがる様子
Q13 きゅんきゅん(愛知県)
1:ときめいている状態
2:隙間のない状態
3:みずみずしい状態
Q14 ぐらぐら(九州地方北部)
1:頭にくる様子
2:お腹がすく様子
3:落ち込む様子
Q15 ごそごそ(三重県)
1:見た目が派手な様子
2:素材がかたい様子
3:サイズが大きい様子
Q16 ざくざく(香川県、徳島県)
1:体が震える様子
2:傷が痛む様子
3:物事がよく捗る様子
Q17 ときんときん(愛知県)
1:尖っている状態
2:光っている状態
3:興奮している状態







