「1年前はモックアップだけ」JR東の新コード決済「teppay」、急ピッチ開発の舞台裏と実力JR東日本 常務取締役の中川晴美氏(左)とパスモ代表取締役執行役員社長の町田武士氏(右)  Photo by Junya Suzuki

JR東日本が新たなコード決済サービス「teppay(テッペイ)」を10月20日に開始する。PayPayなどが市場を席巻する中、なぜ今、JR東日本は新規参入に踏み切ったのか。「最後発」でのサービス開始となった裏事情や、急ピッチでの開発に成功した要因、競合サービスと比べた課題を徹底解説する。(ITジャーナリスト 鈴木淳也/Junya Suzuki)

本稿は【後編】です。teppayの仕組みとメリットについて解説した【前編】は以下からお読みいただけます。
>>JR東の新コード決済「teppay」は何ができるのか?Suica、PayPayにないメリットとは

Suicaよりも「残高の上限」がアップし
便利になったが…

 東日本旅客鉄道(JR東日本)は10月20日から、新たなコード決済サービス「teppay(テッペイ)」を開始する。

 teppayはスマートフォン向けの「モバイルSuica」アプリから利用できるサービス。同日の午前11時以降に同アプリの最新版を開いた際、画面下に表示される「teppay」ボタンを押すことで利用を開始でき、コード決済による店舗での支払いが可能になる。

「1年前はモックアップだけ」JR東の新コード決済「teppay」、急ピッチ開発の舞台裏と実力10月20日に開始される「teppay」。写真は2025年11月に公開されたモックアップ Photo by Junya Suzuki

 メリットや使い勝手については前編にまとめたが、主な特徴としては、teppayの残高を使ってモバイルSuicaの残高にチャージできる点や、定期券を購入できる点などが挙げられる。ユーザー間での残高送金にも対応する。

 従来、カード型を含むSuicaの残高は最大2万円となっており、定期券を含む高額商品の購入が難しかった。残高送金にも未対応だった。

 ユーザーは今後、公共交通の利用やちょっとした買い物ではSuicaを使いつつ、必要に応じてteppayに切り替えることで、2万円を超える買い物や送金ができるようになり、利便性が向上するというわけだ(本人確認を行った場合、teppayでは決済の上限が30万円となる)。

「モバイルSuica」のユーザーであれば、複雑な初期設定を省略し、すぐに利用を始められる点も魅力の一つである。

 ただし、サービス開始前の本稿執筆時点(10月上旬)で、いくつかのデメリットが明らかになっている。

 まず、teppayの残高は現金として払い出す方法がない。

 つまり、一度teppay残高としてチャージされた金額は、支払いやSuicaへのチャージ、送金以外には利用できない。銀行口座へ出金して現金化することや、Suica残高をteppay残高に戻すことも不可能である。

 teppayの残高は資金決済法における「前払式支払手段」に該当し、プリペイドカードなどと同等の扱いになっているためだ。