「なぜか周囲の人と衝突してしまう」「信頼していた人に裏切られることが多い」。そんな悩みを抱えている人もいるのではないでしょうか。しかし、同じように人間関係のトラブルに直面しても、周囲に敵をつくってしまう人と、むしろ信頼関係を深められる人がいます。では、その違いはどこにあるのでしょうか。『世界の役員が教えてくれたこと「仕事に追われる人生」で終わらない生き方』は、その答えを教えてくれます。(構成/ダイヤモンド社・石井一穂)
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周囲に敵をつくってしまう人の共通点
友達が約束を守ってくれない。
部下が期待していた成果を出してくれない。
信頼していた同僚が、自分の思い通りに動いてくれない。
そんなとき、つい相手を責めたくなってしまう。
「もう、あの人は信用できない」
「これまでの付き合いは何だったんだ」
「今後は、距離を置いたほうがいいかもしれない」
そう考えるのも、無理はないだろう。
一度の失敗で相手を信用しなくなる。
期待に応えてくれなければ、関係を見直す。
自分を裏切ったと思う相手には、厳しい態度をとる。
しかし、こうした反応を繰り返していると、いつの間にか周囲に敵が増えてしまう。
相手の行動を「裏切り」と決めつけてしまえば、本来は良好だった関係まで壊してしまう。
相手を「悪者」だと決めつけない
では、人間関係を大切にしている人は、こうした場面でどう対応しているのだろうか。
『世界の役員が教えてくれたこと』では、あるエピソードが紹介されている。
それは、長年付き合ってきた取引先から、期待を大きく下回る成果物が届いたときの話だ。部下たちは「裏切られた」と怒り、取引関係を見直すべきだと主張していた。
しかし担当役員は、その場で判断を下さずに、その夜、自宅でひとり、ゆっくりと自問し始めた。
我々が今回、契約から期待していたレベルは、本当に妥当だったのだろうか。
これまでのレベルを無条件に期待するという前提自体に無理はなかったか。
我々の期待値は、相手に明確に伝わっていただろうか。
長年の付き合いだから言わなくてもわかるだろう、という甘えはなかったか。
客観的に見て、本当に「裏切り」と呼ぶほど酷い水準だったのか。
そして、相手に「悪意がある」と、こちらが勝手に決めつけていないか。
手を抜いた、後回しにした、裏切った。これらはすべて、こちらの推測だ。
先方は別の事情で苦しんでいたかもしれないし、こちらの不満に気づいてさえいないかもしれない。
自問を終えた頃には、役員の頭はずいぶんと整理されました。
明日、先方の社長に電話をして、まず先方が今回のデリバリーをどう認識しているかを率直に聞いてみよう。それから判断しても遅くはない。
彼はそう決めて、その後は、ゆったりとリラックスして過ごしました。
――『世界の役員が教えてくれたこと「仕事に追われる人生」で終わらない生き方』より
翌日の電話で役員が尋ねると、先方の社長はしばらく沈黙した後、内情を話しだした。
取引先では想定外の人材流出が起きており、十分な成果を出せない状況に陥っていたことがわかったのだ。
その事情を知った役員は、相手を責めるどころか、協力を申し出た。
その結果、両社の信頼関係は、以前よりも深まったという。
相手の事情を知らないまま「裏切られた」と決めつけるのは危険だ。
たとえば、友人から連絡が返ってこないとき。
「自分は大切にされていない」と考える前に、相手が忙しい可能性を考えてみる。
それだけでも、人間関係のトラブルは減らせるかもしれない。
「本当に相手が悪いのだろうか」
「自分の思い込みはないだろうか」
そう自分に問いかけてみる。
相手を敵だと決めつける前に、まずは事情を知ろうとする。
その小さな習慣が、周囲との信頼関係を守ることにつながるのではないだろうか。







