「仕事から帰ると、何もする気が起きない」「テレビやスマホをダラダラ見て終わる。そんな人も多いだろう。しかし、同じように忙しい毎日を送っていても、時間を有意義に使える人がいる。その違いはどこにあるのだろう。『世界の役員が教えてくれたこと――「仕事に追われる人生」で終わらない生き方』が、その答えを教えてくれる。(構成/ダイヤモンド社・石井一穂)

映画やドラマを観るのは、知識を増やすためでも、賢く見られるためでもない。その行為自体を快い贅沢だと感じているからだ。イラスト:カタユキコ

人生が無駄に過ぎていく「夜の過ごし方」

仕事を終えて帰宅する。夕食を済ませ、ソファに座り、スマホを手に取る。Netflixで話題のドラマを観たり、YouTubeでおすすめの動画を眺めたりするうちに、気づけば寝る時間になっている。

「今日も何もできなかったな」

そんなことを思いながら、一日を終える。
こうした毎日を送っている人も少なくないだろう。

もちろん、仕事が終わったあとに、好きな映画やドラマを楽しむことは悪いことではない。忙しい一日の疲れを癒やすためには、必要な時間でもある。

しかし、毎晩ただ何となく動画を眺めているだけでは、せっかくの自由な時間が過ぎていくばかりだ。

一方で、同じように映画やドラマを楽しんでいても、その時間を豊かな人生へとつなげている人がいる。特別な勉強をしているわけではない。難しい本を何時間も読んでいるわけでもない。ただ、映画やドラマを観るときの「意識」が違うのだ。

映画やドラマを観ながら「問い」を立てる

『世界の役員が教えてくれたこと』では、映画を観ていて気になる場面があると、再生を止めて哲学書を読み直す役員が紹介されている。

その理由について、次のように書かれている。

知識を増やすためではない。賢く見られるためでもない。ただ、今という時代を多角的に理解したい。
そして、その行為自体を、快い贅沢だと感じているのです。

――『世界の役員が教えてくれたこと「仕事に追われる人生」で終わらない生き方』より

ただ受け身で消費するのではなく、「なぜ今、このテーマが支持されているのか」「人々は何に不安を感じているのか」「この違和感の正体は何だろう」と、観ながら自分の中で問いを立てる。

たとえば、話題のドラマを観たとき、「面白かった」で終わるのではなく、「なぜ、この作品が多くの人に支持されているのだろう」と考えてみる。

登場人物の行動に違和感を覚えたときも、「自分だったら、どうするだろう」「なぜ、この人はこんな行動をとったのだろう」と問いを立ててみる。

すると、ただの娯楽だった時間が、自分の考えを深める時間にもなる。

仕事をしていると、私たちは常に答えを求められる。何をすべきか。どちらを選ぶべきか。どうすれば成果が出るのか。

しかし、仕事が終わったあとの時間まで、何かの成果を出す必要はない。答えの出ない問いについて、自由に考えてみる。それ自体が、豊かな時間の使い方になるのである。

答えが出なくてもかまわない。
何かの役に立つから考えるのではなく、考えること自体を楽しむ。そんな時間を持つことが、毎日の生活をより豊かにしてくれるのではないだろうか。