『その仕事、スケールするの?』は、シアトルの巨大IT企業で働く著者・福原たまねぎ氏が、世界一流の同僚から学んだ成果の出る仕事のやり方を明かす1冊です。今回は、本書から、世界一流はなぜ「目の前の仕事に丁寧に応える人」を評価しないのか、そしてたった1回の努力をチームや会社全体に届ける鍵「波及性」の秘密について紹介します。

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何度も広がる仕事をする――波及性

波及性を一言で言うと、「その仕事は広がるのか?」ということだ。

アメリカでは、できる人ほど「配れる形」に変えようとする。

自分1人で完結させるのではなく、だれもが使える形にする。

たとえば、毎日同じような問い合わせメールに返信する仕事があるとする。

「この機能ってどう使うんでしたっけ?」
「先週の会議の決定事項を教えてもらえますか?」
「このデータの出し方を教えてほしいんですけど」

それに1件ずつ丁寧に返す。1日20件。

これは誠実だし、ちゃんと仕事をしている。

でも、これでは広がらない。

今日20件返しても、明日また20件来る。

どれだけ頑張っても、その努力はその場で消えていく。

では、波及性のある仕事はなんだろう?

・よくある質問をまとめたドキュメントをつくる。
・資料の置き場所を整理してだれでも見つけられるようにする。
・そもそも迷わない導線に変える。

すると、問い合わせ自体が減る。しかも、それは1人ではなく、チーム全員や、場合によっては何千・何万人の外部のお客さんにまで波及する。

ここではじめて、仕事が広がる。

これが波及性だ。

日本にいたころ、「目の前の人にちゃんと対応すること」が仕事の誠実さだと思っていた。

それ自体は間違っていない。

でも、シアトルで学んだのは、ほんとうに誠実なのは、同じ困りごとが何度も起きないようにすることでもある、ということだった。

1件ずつ対応する。それも大切だ。

でも、もっと本質的な優しさは、「同じ苦労を何人にもさせない仕組みをつくること」だったのだ。